[6.28 EURO決勝T1回戦 フランス3-3(PK4-5)スイス ブカレスト]

　2018年のロシアW杯王者がベスト16で姿を消した。欧州選手権(EURO2020)の決勝トーナメント1回戦が28日に行われ、ルーマニアの首都ブカレストでフランス代表とスイス代表が対戦。3-3で突入したPK戦をスイスが5-4で制し、初のベスト8進出を果たした。7月2日の準々決勝ではスペイン代表と顔を合わせる。

　“死の組”と呼ばれたグループFを首位通過したフランスは、これまでの4バックではなく3-4-1-2の布陣でスタート。3バックの中央には今大会初出場のDFクレマン・ラングレ(バルセロナ)、左ウイングバックには中盤を本職とするMFアドリアン・ラビオ(ユベントス)が入った。

　一方、グループAを3位で突破したスイスも3-4-1-2。開幕からの基本フォーメーションを継続し、2トップのFWハリス・セフェロビッチ(ベンフィカ)とFWブレール・エンボロ(ボルシアMG)、トップ下のMFジェルダン・シャキリ(リバプール)、ボランチのMFグラニト・ジャカ(アーセナル)など、お馴染みの顔ぶれが並んだ。

　フランスは左サイドに流れてドリブル突破を仕掛けるFWキリアン・ムバッペ(パリSG)を起点に立ち上がりから攻め込んだが、相手の守備を完全に崩すまでには至らない。

　すると前半15分にスイスが先制する。PA手前やや右からセフェロビッチが右足で打ったシュートがDFに当たり、左サイドへのこぼれ球を拾ったMFシュテフェン・ツバー(フランクフルト)がPA左脇から左足でクロス。中央のセフェロビッチがラングレに競り勝ち、ヘディングでゴール左に決めた。

　フランスは失点後も押し気味にゲームを進めるが、枠内シュート0本で前半終了。ハーフタイム明けからラングレに代えてMFキングスレイ・コマン(バイエルン)を投入し、4-4-2に変更した。

　1点リードのスイスは、後半7分に左サイドを突破したツバーがPA内左でDFバンジャマン・パバール(バイエルン)に倒され、同8分にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)を経てPKを獲得する。同10分、キッカーのDFリカルド・ロドリゲス(トリノ)が左足でゴール左下を狙うが、GKウーゴ・ロリス(トッテナム)のビッグセーブで追加点は奪えない。

　このワンプレーで戦況が一変する。後半12分、フランスの敵陣でのボール回収からMFエンゴロ・カンテ(チェルシー)、FWアントワーヌ・グリーズマン(バルセロナ)、ムバッペとつながり、PA内中央へ走り込んだFWカリム・ベンゼマ(R・マドリー)がやや後ろめに入ったムバッペからのラストパスを華麗にコントロール。GKヤン・ゾマー(ボルシアMG)との1対1から左足で流し込み、1-1とした。

　直後の後半14分には、MFポール・ポグバ(マンチェスター・U)の左サイドでのボール奪取からコマンがPA手前左のグリーズマンに送り、グリーズマンはムバッペとのワンツーでゴールエリア左に進入。左足のクロスはGKゾマーに触られるも、ファーに飛んだボールをベンゼマが頭で押し込み、2-1とする逆転弾を奪った。

　さらに後半30分、ベンゼマのシュートがブロックされてPA手前中央にボールがこぼれると、拾ったポグバが右足でミドルシュート。鮮やかな弾道でゴール右上隅に吸い込まれ、3-1とリードを広げた。

　PK失敗が尾を引いたスイスは後半36分、右サイドのDFケビン・ムバブ(ボルフスブルク)からの高速クロスをセフェロビッチがヘッドで叩き込み、1点差に詰め寄る。同40分にはFWマリオ・ガブラノビッチ(ディナモ・ザグレブ)がネットを揺らすも、オフサイドを取られた。

　それでも後半45分、カウンターからジャカが鋭い縦パスを送ると、前線で受けたガブラノビッチがDFプレスネル・キンペンベ(パリSG)をかわし、PA内中央から右足でシュート。ゴール左に突き刺さり、スイスが土壇場で3-3と同点に追い付く。試合はそのまま延長戦に突入した。

　フランスは延長前半4分にベンゼマを下げ、FWオリビエ・ジルー(チェルシー)を送り出す。同5分には左サイドのコマンの突破を起点にパバールが決定機を迎えたものの、GKゾマーのファインセーブに遭う。さらに延長後半5分、PA内左に抜け出したムバッペのシュートは枠外。同14分にジルーが至近距離から放ったヘディングシュートもGKゾマーに阻まれ、3-3で120分間が終了した。

　迎えたPK戦では先攻のスイスが5人目まで成功した一方、後攻のフランスは5人目のムバッペがまさかの失敗。スイスが自国の歴史を塗り替え、ベスト8に駒を進めた。

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