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[Fリーグ]がんを乗り越えたFP鈴村が試合後に久光と交わした約束

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[9.22 Fリーグ第15節 神戸3-1湘南 GA神戸]

 Fリーグは22日に第15節を行い、デウソン神戸湘南ベルマーレ(Fリーグ)と対戦し、3-1で勝利した。昨年12月に上咽頭がんであることを公表し、治療していたFP鈴村拓也が、この試合で復帰した。試合後、集まった2,815人の観衆に、鈴村は感謝のコメントを送っている。

「昨年12月にがんを公表して、『必ず戻ってくる』と約束して闘病生活に入りました。『治る』と言われて始めた治療だったので、もうちょっと楽かなと思ったけど、実際にすごくつらいときもあって…。本当に『ピッチに立ちたい』『立つんだ』っていう想いを持っていてもいいのかなっていうふうに思った時期もありました。だけど、今日、このようにたくさんの方に来ていただきましたし、今日、来られなかった人たちも、本当にたくさんの人に支えていただきました。自分で戦おうと決めてやった結果、今日、戻ってくることができて、本当に嬉しいですし、感謝しています。みなさん、本当にありがとうございました。今日、この試合に自分が復帰したい。復帰するんだと決めたのは、今日の対戦相手の湘南ベルマーレの久光選手が、僕と同じような病気になり、戦っています。僕のことを支えてくれたように、湘南ベルマーレの久光選手も支えてください。必ずみんなの力が届くと思います。よろしくお願いいたします」

 続けて、この試合を観戦するために、神戸へ足を運んでいた湘南のFP久光重貴も、ピッチに帰ってくることを約束した。

「今、僕自身、抗がん剤でがんの治療をしています。そんな中、苦しいときも、たくさんあります。ですが、今日、鈴村選手のプレーを見て『必ず戻れる』という希望を持つことができました。必ずピッチに戻るとともに、今日、神戸に取られてしまった勝ち点3を、ピッチに戻って取り返しに行きたいと思います。これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします」

 挨拶を終えた久光に、鈴村は自身が試合で着ていたユニフォームを手渡した。そして、新たな約束を交わしたという。

「ここに戻ってくるという約束を果たすことができました。でも、今日がまた新しい約束が出来ました。今度はヒサ(久光)が戻ったときにユニフォームをもらうってね。それはヒサにとっても目標になるだろうし、オレにとっても『ヒサが戻ってくるまでピッチに立ち続ける』っていう目標になります。その約束を守るためにも、ピッチに立ち続けますよ」

 サポーターとの約束を果たした鈴村は、次の約束に向けて、また日々のトレーニングに励んでいく。自身に起きた奇跡が、久光にも起こることを信じて。

(取材・文 河合拓)

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