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[プリンスリーグ]選手権予選敗退の市立船橋、全国V候補の桐光学園に意地の勝利!

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[12.2 プリンスリーグ関東1部第17節 桐光学園1-3市立船橋 ヴェルディG]

 JFAプリンスリーグ関東1部は2日、第17節を行い、首位の桐光学園高(神奈川)と4位・市立船橋高(千葉)との一戦はFW石田雅俊(2年)の2ゴールなどによって市立船橋が3-1で勝った。

 前回の選手権王者が見せた意地の勝利だった。市立船橋は全国高校選手権千葉県大会準決勝(11月11日)で流通経済大柏にPK戦の末、惜敗。全国連覇の夢は、全国大会開幕1か月半以上前の県大会準決勝で潰えた。

 3年生たちは目標を失った。プリンスリーグ関東2試合を残していたとはいえ、高校選手権での優勝を目指して3年間サッカーを続けてきた選手たち。その夢が叶わなかったショックは大きく、メンタルを維持できずにBチームに落ちた選手もいる。その中で迎えた桐光学園戦。主将のDF小出悠太(3年)は「自分も正直クソっていう思いはありました。でも選手権で優勝候補の桐光を倒すというモチベーションでやってきた。(練習を再開してから)残り2、3週間でなるべく多くのものを残す、チームにとってプラスになるものを残すという気持ちでやってきた」。

 この日出場した3年生は小出とDF種岡岐将、右MF宮川泰来の3人だけ。ただ種岡が「今年の市船はダメだったのか強かったのか。(自分たちの勝つことができなかった)千葉は激戦区だったのか。プライドに懸けて負けられなかった」という思い、勝利への欲求はこの日、自分たちの出場できない高校選手権でV候補に挙げられている桐光学園を上回る。

 先制点は試合開始直後の前半3分。相手のミスからFW室伏航(2年)がドリブルで駆け上がる。そのパスを受けた石田がミドルレンジからダイレクトでシュートを放つと、先制弾がゴールネットへ突き刺さった。その後も3バックからボールをつないで攻める市立船橋は右サイドからPAへ飛び込んだ宮川がシュートへ持ち込み、12分には石田が反転からポスト直撃の右足シュートを放つ。

 ただ、2位・柏U-18と勝ち点3差でこの日引き分けでも優勝の可能性がある桐光学園は評判通りの実力を発揮。守備からリズムを取り戻して市立船橋の攻撃を封鎖すると、サイドからの崩しで反撃する。16分には、右サイドのFW市森康平(3年)の折り返しをMF松井修平(3年)が右足ダイレクトでシュート。これはGK志村滉(1年)の好セーブにはじき出されたものの、22分にも左SB中島駿(2年)のラストパスをFW野路貴之(3年)が右足で叩く。そして相手を押し込んだまま迎えた24分、中島の左クロスを逆サイドから走りこんだMF菅本岳(3年)が頭で合わせて同点に追いついた。

 桐光学園は中盤から松井やMF多田八起(3年)が飛び出し、左サイドではMF橋本裕貴(3年)が正確な技術と判断力で存在感を発揮。リズムのいい攻撃で市立船橋にプレッシャーを掛け続けた。ただ前半終了間際にもカウンターから決定機を作りだしたものの、松井の右足シュートがゴールを捉えず、勝ち越すことができない。

 後半も立ち上がりは桐光学園ペースだったが、怖れずにボールをつなぎ出した市立船橋が徐々にリズムを取り戻す。そして11分、20分には個人技で相手DF陣を苦しめていた石田がマークを外して決定的なシュートを連発。ともに勝ち越すことができずに後半半ばは停滞感が漂ったが、選手交代でフレッシュな選手が入ってくると、試合終盤へ向けて再びテンポが上がっていく。そして39分だ。市立船橋はカウンターから交代出場のMF小田大樹(2年)が抜け出す。その左外からフォローした石田が中央へラストパスを入れると、走りこんだ室伏がスライディングシュートで勝ち越しゴールを押し込んだ。
 
 さらに42分、市立船橋は1年生の左MF野村翼がPAへ蹴りこむと、飛び込んだ石田とGKが競ってPAにボールがこぼれる。これにいち早く反応した石田が右足でダメ押しとなる3点目のゴールを叩き込んだ。桐光学園はこのあと、シュートが2度クロスバーに阻まれる不運もあって追撃できず。市立船橋が3-1で勝利した。「モチベーションは難しかったですけれど、モチベーションの差で負けたというのはなしにしたかったし、そのスイッチは入れるようにしました」と語った朝岡隆蔵監督は、来季の主軸たちが見せた技術と闘争心高いサッカーに納得の表情。堅守でチームを支えた小出、種岡、運動量でチームを後押しした宮川、そしてベンチの3年生たちもやり切った笑顔を見せていた。

 3年生たちにとって市立船橋の一員として戦う公式戦は最終節のあと1試合だけ。種岡は「選手権が終わって、落ちているけれど、監督に『種岡はこんなに成長したんだな』と思ってもらえるように全て出しきりたい」と宣言。そして小出は後輩たちへ向けて「強い、と思われてほしい。2年生はテクニカルなんですけど、もっと気持ちを出して、戦ってほしい。(自分たちは)あと1週間でより多くのものを残して来年(選手権)優勝してもらえるようにしたい」とメッセージを送った。全国大会に出れば間違い無く優勝候補に挙げられていたであろう今年の市立船橋。全国舞台でその強さを見せつけることはできなかったが、あと1試合、後輩のために来年につながる試合をする。

[写真]最終ラインで桐光学園の攻撃を跳ね返す市立船橋DF種岡

(取材・文 吉田太郎)
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