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[選手権]大津は豊川のPK失敗で早すぎる終戦…植田「情けない」

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[12.31 全国高校選手権1回戦 旭川実0-0(PK3-2)大津 ニッパ球]

 乾いた音が響き渡った。PK2-3で迎えた大津(熊本)の5人目。MF豊川雄太(3年=鹿島アントラーズ内定)のキックが左ポストを直撃する。勝者となった旭川実(北海道)の選手が喜びに沸く中、豊川は呆然とピッチに立ち尽くした。

 豊川のもとへ歩み寄り、励ますDF植田直通主将(3年=鹿島アントラーズ内定)。しかし、膝から崩れ落ちた豊川はチームメイトに支えられ、選手が整列するピッチ中央へ戻っていった。

「ちょっとしゃべれないです……」。ミックスゾーンを急ぎ足で通り抜けた豊川はスタジアム外で待つ応援団のもとへ行き、涙ながらに頭を下げて回った。憮然とした表情で姿を現した植田も「情けないです。話す気分じゃない」とだけ言葉を残し、選手権の舞台から去った。

 植田、豊川という鹿島入り2選手を擁し、優勝候補の一角にも挙げられていた大津の早すぎる敗退。前半から試合を支配しながらシュートが2度クロスバーに阻まれる不運もあり、後半は攻め急ぎから拙攻を繰り返した。終盤は植田も前線に上がるパワープレーを仕掛け、豊川と2トップを組んだが、1点が遠い。

 0-0のまま突入したPK戦では、プレッシャーのかかる一人目を務めた植田は落ち着いて決め、その重責を果たしたが、最後に豊川がまさかの失敗。前回出場した10年度大会に続く初戦敗退となった。

 平岡和徳監督は「どんなプロでもPKを外す」と豊川をかばった。「それ(PK失敗)でサッカーを終わらす選手は一人もいない。彼のキャリアの中で、今日の経験がこれからの成長に糧になってくれれば」。最後の選手権は悔しい幕切れとなった。それでもサッカー人生は続く。来年はプロの世界に挑戦する植田と豊川。悔しさをバネにはい上がる教え子たちのさらなる飛躍を願った。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012

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