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[選手権予選]夏の全国王者・市立船橋、京都内定コンビ不在も7発発進:千葉

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[10.19 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 市立船橋7-0東邦大東邦 グラスポ法典公園]

 第92回全国高校サッカー選手権千葉県予選は19日、32校による決勝トーナメントへ突入。1回戦1日目の8試合を行い、今夏の全国高校総体で優勝した市立船橋はFW小田大樹(3年)の3得点など東邦大東邦に7-0で快勝した。市立船橋は2回戦で千葉日大一と戦う。

 この日、市立船橋は京都サンガF.C.内定コンビがともに欠場。エースFW石田雅俊(3年)がプリンスリーグ関東での退場による出場停止で日本高校選抜DF磐瀬剛主将(3年)も“温存”されていた。11月17日の決勝を見据える中でこの初戦で難しかったのは、メンタル面。決勝にピークを持っていくことを考えつつも、目の前の相手を全力で突破していかなければいけない。「相手がどうくるのかというよりも、自分たちがどのテンションでやるのかなというのが一番難しかったです」と朝岡隆蔵監督。「間違いなく5試合を見て戦っていかないといけない。1試合1試合でありながら、5試合見通せたチームが強いと思います」と指揮官が加えたように、目の前の試合を第一に集中しながら、全国総体準Vの市立船橋や八千代らライバルのいる全国最激戦区を突破するための準備・戦いを夏の全国王者は進めていく。

 その市立船橋は7ゴールで夏冬全国連覇への第一歩を踏み出した。3分にMF藤井拓(2年)が左足ミドルを放ち、9分には小田が鋭いターンから右足シュート。立ち上がりから意志を持ち、ショートパスをつないで攻める市立船橋はオープンスペースへ飛び出してくる左SB山之内裕太(3年)と右SB篠原良介(3年)の両翼も使いながら相手にプレッシャーをかけていく。

 東邦大東邦も14分にゴールキックから前線のフリックで抜け出したFW萩原光絋(3年)が左足シュート。最前線に張るFW平野祐希(3年)への縦パスなど前に出る姿勢も見せて対抗しようとする。だが市立船橋は17分、右サイドからPAへ飛び込んだ篠原にMF室伏航がスルーパスを通すと、その折り返しをMF横前裕大(3年)が左横へつなぎ、最後は小田が右足でゴールヘ押し込んだ。さらに市立船橋は22分にも室伏の仕掛けから小田が左足シュートを決めて2-0とする。

 先制点を取ったあとはやや力任せに、勢いで攻めてしまってしまった部分もあった。また守備面でも落ち着きを欠いたプレーがあった。それでもボールを完全に支配し、室伏や横前の仕掛けや両SBのオーバーラップからチャンスをつくる市立船橋は後半8分、右サイドを突いた篠原のラストパスに飛び込んだ小田が右足でゴールヘ沈めてハットトリック達成。その後も余裕を持った崩しでビッグチャンスをつくる市立船橋は20分にもショートカウンターから室伏が左足でゴールを破り、33分には中央でのコンビネーションからMF成田悠冴(3年)が鮮やかな左足シュートで決めて5-0とした。

 交代選手たちが攻撃の手を緩めない市立船橋はアディショナルタイム突入後にも1年生MF下村司が鮮やかな左足コントロールショットを決めて6点目。42分にも1年生FW矢村健が決めて7-0で初戦を終えた。

 全国総体優勝後のプリンスリーグ関東では2勝1分3敗。全国総体までは相手に引かれて守られるということはほとんどなかったが、攻撃力を警戒されて攻めきれない場面があった。また磐瀬主将が「内容は悪く無いですけど、ちょっとちょっとの、もう少し何かしておけばというところでゴール前の甘さが出てしまった」と説明したように、攻守においてわずかな甘さが出てしまっていた。その課題を理解した上で市船は選手権へ臨んでいる。

 激戦区での5試合を勝ち抜いて、まずは全国切符を死守することが目標。1年時に全国優勝を経験している磐瀬は「(それぞれ)試合の時にはピークに持っていきたいですけど、気合入りすぎても続かないと思う。毎試合毎試合ピークに持っていくけれど、(決勝まで勝ち上がっていく中で)その時々の気持ちのピークを持って行きたい」。約1か月の千葉決戦。下村ら下級生の台頭も見せる総体王者は焦らずに、全員で、乗り越える。

[写真]後半8分、市立船橋は小田が右足でこの日3点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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