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[選手権予選]鈴木武蔵擁した2年前のように全国へ、後半4発の桐生一が決勝進出:群馬

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[11.10 全国高校選手権群馬準決勝 西邑楽1-5桐生一 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場]

 第92回全国高校サッカー選手権群馬県予選は10日、群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場で準決勝を行い、西邑楽対桐生一戦は後半の4ゴールで畳み掛けた桐生一が5-1で勝ち、決勝へ進出した。桐生一は17日の決勝で前橋育英と戦う。

 現U-20日本代表でアルビレックス新潟のFW鈴木武蔵を擁した2年前、前橋育英との壮絶な延長戦の末に全国大会初出場。その際、スタンドから大声を張り上げて“英雄”たちの戦いぶりを目に焼き付けていた当時の1年生たちが最上級生となり、全国に王手をかけた。
 
 桐生一はMF田中大輔やMF木村光希(ともに3年)といった技巧派の中盤の組み立てから右SB坂井滉祐(3年)と188cmの大型左SB乾貴哉(2年)が攻撃参加。そして12年U-16日本代表候補のCB松島奨真主将(3年)が右足で左右に高精度のフィードを蹴り分けてくる。そして前線のFW浦丸治也やMF出村颯太(3年)が鋭い動きでゴールへ迫るなど立ち上がりから主導権を握った桐生一は17分、乾が出した縦パスで飛び出した浦丸がPAでDFに引き倒されてPKを獲得。これを浦丸が右足でゴールへ沈めて先制点を奪う。 

 ただ、西邑楽は29分、FW阿部浩平(2年)が獲得したPKをMF倉兼翔(3年)が右足で左隅へ決めて同点に追いつく。前半に与えた1本のシュートで同点に追いつかれた桐生一はすぐに突き放そうとするが、38分に木村が放った右足シュートがポストに阻まれるなど決定機を活かすことができないまま前半を1-1で折り返す。それでも後半12分に投入されたFW齋藤雄大(2年)が直後の14分に勝ち越しゴールを決める。MF桐生隼人(3年)が右サイドから出したパスを受けた齋藤は絶妙なターンでDFを置き去りにしてGKとの1対1から左足でゴールを破った。

 再び追う展開になった西邑楽も18分に右サイドをワンツーで打開したMF蓮見裕貴(2年)がクロスへ持ち込んだほか、阿部のキープ力や右SB今成彰人(3年)のオーバーラップ、そしてセットプレーから得点機到来を予感させていた。29分には左SB柿沼佑斗(3年)の左FKにFW大家凌平(3年)が決定的な形で反応する。そして終盤には178cmDF増田光紀主将(3年)と182cmDF矢部翔(2年)の両CBと184cmの大家を前線に並べるパワープレー。リスクを負った攻撃で同点ゴールをもぎ取ろうとした。

 ただ、今年の桐生一の武器は高さ。「試合が始まる前にコーチの方からチャレンジ&カバーとボールが上がっている時のポジショニングを良くすれば、相手の攻撃はほぼ半減すると言われた。そこは全員で徹底できたので良かった。1年通して今一番いい時期。やるべきところをやっている」という松島や乾、木村といった180cm超の選手たちが相手のロングボールを完封すると35分、右サイドから仕掛けた出村が鮮やかな左足シュートを逆サイドのゴールネットへ沈めて3-1と突き放す。攻めるしかない西邑楽の背後を取った桐生一は37分にも右サイドでGKをかわした出村のラストパスから桐生が決めて3点差。そして41分、坂井のグラウンダーのアーリークロスを齋藤が右足ダイレクトで決めてダメ押した。

 苦しみながら勝ち取った決勝への切符。「2年前に全国初出場できたんですけど、今の3年生は誰も出ていない。その選手権に出たいという気持ちが出たと思います」と振り返った田野豪一監督は、プリンスリーグ関東1部で首位に立つ大本命・前橋育英と戦う決勝へ向けて「前橋育英さんは全国でもトップレベルなので何かがないと勝てないと思いますけれど、その何かを得るための準備はしています。運もないと勝てないと思いますけれど、準備もしていないと、運は勝手には落ちてこないですから」と周到な準備で2年ぶりの全国を狙うことを明言した。前橋育英を撃破して全国大会初出場で8強へ進出した2年前のように自分たちも。主将の松島は「(2年前の先輩たちが)全国でも注目されたりして、自分たちもあそこのピッチに立とうと話をしてきた。個々だと相手(前橋育英)の方が優っている。桐一のプライド持って組織で対抗していきたいです」と強豪撃破を宣言した。

[写真]桐生一は前半16分、浦丸のPKで先制する

(取材・文 吉田太郎)
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