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[選手権]シュート31本で4発快勝!!夏冬連覇を目指す市立船橋が8強へ

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[1.3 全国高校選手権3回戦 市立船橋4-1水戸啓明 フクアリ]

 第92回全国高校サッカー選手権は3日、各地で3回戦を行った。フクダ電子アリーナの第1試合では、戦後最多タイとなる6度目の優勝を狙う市立船橋(千葉)と初の8強入りを目指す水戸啓明(茨城)が対戦。市立船橋が4-1で快勝し、ベスト8進出を決めた。5日の準々決勝では前回大会準優勝の京都橘(京都)と対戦する。

 序盤から市立船橋が一方的に攻め立てた。「初戦は硬さがあったんだなと、あらためて感じた。表情、雰囲気が一変していた」。朝岡隆蔵監督が振り返るとおり、直接FKによる1点で辛勝した前日2日の中津東戦(1-0)とは打って変わった立ち上がりを見せた。すると前半14分にセットプレーから幸先よく先制点。FW石田雅俊(3年、京都サンガF.C.内定)の左CKからニアに飛び込んだDF磐瀬剛主将(3年、京都サンガF.C.内定)がスルーし、ゴール前中央でフリーになったDF柴戸海(3年)がヘディングで押し込んだ。

 その後も次々とチャンスをつくり出す。前半22分、磐瀬からのロングフィードをオーバーラップした左SB山之内裕太(3年)が受け、フィニッシュまで持ち込む。同24分には柴戸がロングパス。左サイドを駆け上がった山之内のクロスからこぼれ球をMF室伏航(3年)が左足で狙ったが、いずれも枠を捉え切れなかった。

 前半28分には両チームが決定機を迎える。水戸啓明は市船守備陣の一瞬の乱れからゴール前にこぼれてきたボールにFW石川大地(3年)が詰めたが、シュートは至近距離でGK志村滉(2年)がストップ。市立船橋も直後に山之内の左クロスに室伏が頭で合わせ、GK黒子兼汰(3年)が弾いたボールを今度はDF篠原良介(3年)が右足で狙ったが、惜しくも右ポストを直撃した。

 両SBが高い位置を取り、攻撃に厚みを加える市立船橋は、水戸啓明の巻田清一監督が「経験したことのない精度だった」と舌を巻いた左SB山之内の正確なサイドチェンジ、ロングフィード、クロスボールでチャンスを演出。前半35分には、その山之内からのピンポイントの左クロスに石田が頭で合わせ、待望の追加点を奪った。

 2点リードで折り返した後半も市船ペースで進む。後半7分、FW横前裕大(3年)のスルーパスに石田がPA内左へ抜け出し、角度のない位置から左足でシュート。GKが弾いたこぼれ球を室伏が狙い、さらにこぼれたボールをMF成田悠冴(3年)が右足で蹴り込み、3-0と突き放した。同14分には室伏が石田とのワンツーで中央を突破。左足でゴール右隅に流し込み、試合を決定づける4点目を奪った。

 水戸啓明も後半26分、DF阿部悠大(3年)の右クロスにニアへ走り込んだ石川が頭で合わせ、1点を返したが、反撃もここまで。市立船橋は後半34分からDF田代圭亮(3年)を投入して3バックにシステムを変更し、4-1で逃げ切った。終わってみればシュート数は水戸啓明の11本に対し、市立船橋は実に31本を数えた。

 1失点以外にもピンチはあったが、朝岡監督は「そこは織り込み済み。決定機をつくられても1本、2本、3本と止められるCBとGKがいる」と力説。「思ったよりはやられなかった。自分たちが相手を押し込めた時間が長かったからこそだと思う。及第点以上の点をあげられる試合内容だった」。伝統的な堅守速攻ではなく、自分たちからアクションを起こし、ボールを保持しながら相手を押し込む。“攻撃が最大の防御”と言わんばかりのサッカーで夏冬連覇を狙っている。

「新しいスタイルというよりも、彼ら(選手)がつくったチーム。彼らの特長を伸ばそうと思ってやってきた。ただ、もっとできると思う」。5日の準々決勝では前回準Vの京都橘と対戦する。事実上の決勝戦とも言える大一番。山之内は「今日みたいなサッカーをすれば負けることはない」と力強く話していた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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