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[選手権予選]徳島市立が鳴門との死闘制し、決勝進出!:徳島

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[11.1 全国高校選手権徳島県予選準決勝 徳島市立高 2-2(PK7-6)鳴門高 徳島市球技場]

 第93回全国高校サッカー選手権徳島県予選の準決勝が1日、徳島市球技場で行われ、徳島市立高が2-2で突入したPK戦の末、7-6で鳴門高に勝利し、2連覇に王手をかけた。徳島市立は8日に15度目の選手権出場をかけて、徳島北高と対戦する。

 一度は掌から零れ落ちかけた白星を徳島市立が意地で再び、手繰り寄せた。序盤からMF日下翔太蔭西竜之介を中心にボールを動かし、右サイドMF中峯正博のドリブルや運動量豊富なFW岸田大世福住卓磨の2トップへと繋ぐ徳島市立優勢で試合が進んだ。しかし、5分に中峯の右CKをDF奥田雄大が頭で合わせるも枠の左。18分には右サイドからカットインした中峯が左へ展開し、逆サイドで受けたMF金丸雅が中に折り返すもGKに阻まれるなど、「ちょっと気持ちに余裕があれば点を獲れる展開があったのに最後の所で力が入り過ぎてしまっていた」(河野博幸監督)と緊張からフィニッシュの精度を欠き、得点を生む事が出来ない。それでも25分にはPA右外でFKを獲得すると、中峯がゴール左下に直接、決めて先制する。

 後半に入ってからも徳島市立が主導権を握り、12分には自陣から岸田が縦に長いスルーパスを入れると福住がこれに反応。GKとの1対1を迎えたが、前に飛び出した安永龍平に抑えられてしまう。2点目を奪い、試合を終わらせたかった徳島市立だったが、その後もチャンスを活かせずにいると、流れは反撃に出た鳴門に傾いた。鳴門は27分に右CKからMF真田左京がヘッドでゴール右隅を狙うも、ギリギリの所でDF鏡洋人がクリア。身体を張った徳島市立の守りを崩せないながらも、セカンドボールをMF坂本優斗ら中盤が高い位置で拾い、波状攻撃を繰り出す。

 そして、後半39分には1-0での逃げ切りを狙い、残り時間を有効に使おうと徳島市立が2枚替えを実施したが、「これまで、余り逃げ切る事をさせてこなかったので試合の締め方を分かっていなかった」(河野監督)とこの策が裏目に出てしまう。ボールロストから一気に右サイドを突かれMF中尾慶心にグラウンダーのクロスを入れられると、MF中尾優生に頭で合わせられ、試合は延長戦に突入した。

 迎えた延長戦では勢いに乗った鳴門の攻勢を強め、開始直後には右CKをFW川添晃がヘディングで合わせたが、バーに直撃。天を仰いだが、延長後半4分に素早いパス回しから左サイドにボールが流れ、受けた川添がドリブルでPAに侵入すると、DF辻拓也に倒されて、PKを獲得。これを中尾優が決めて、この試合初めてリードを奪った。しかし、徳島市立も意地を見せ、7分に左クロスの折り返しをPAで辻が胸でトラップ。「良い感じのボールが来たと思ったけど、バウンドが難しかった。どうせ僕では決められてなかったと思うので良かった」と振り返ったように受けた瞬間に倒され、PKを奪った。これを中峯が決めて2-2となり、PK戦へと突入した。ここでも両者譲らず6人目まで全員が成功したが、の先攻・鳴門の7人目のキックは無情にも枠の外。続く徳島市立MF郡紘平がきっちりと決めて徳島市立が勝利した。

 苦しみながらも掴んだ選手権予選連覇への挑戦権。試合後、河野監督は安堵の表情を浮かべるのではなく、「動けてはいるけど、正確な技術や判断力を出せていない」と苦言を呈した。その要因は「普段の試合では落ち着いてプレー出来るので練習試合でほとんど負けていない。でも、今日みたいな大事な試合は緊張でダメなんです」(辻)という大舞台での弱さがあるからだ。

 事実、夏の全国総体でも初戦こそ勝利したが、2回戦の野洲高(滋賀)戦は持ち味を出せずに1-4で完敗。昨年度の選手権でも履正社高に(大阪)に敗れ、2回戦で涙を飲んだ。それでも、辻が「負けはしたけど、思っていた以上に守る事も出来たし、ある程度手応えを掴めた。くじ運次第では、選手権でもベスト8を狙えると思う」と口にしたように少なくない収穫を得た。その感触を再び全国で試すには次の決勝で自分たちらしさを出し、勝利する事がノルマだ。

(取材・文 森田将義)
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