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[選手権予選]中京大中京、エース不在も2年生「ピンチキッカー」辻の活躍で全国王手:愛知

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[11.8 全国高校選手権愛知県予選準決勝 岡崎城西高 1-3 中京大中京高 瑞穂公園陸上競技場]

 第93回全国高校サッカー選手権の愛知県予選は8日に瑞穂公園陸上競技場で準決勝を行い、第2試合では中京大中京高が3-1で岡崎城西高を下した。

 中京大中京は、エースの富田光を累積警告による出場停止で欠いたが、代役に抜てきされた2年生MF辻星哉がセットプレーで高精度のキックを何本も披露し、3得点すべてを演出する活躍を見せた。かつて名古屋で活躍した岡山哲也監督は「今日は、キッカーが良かった。富田が出られないこともあって、中盤に落ち着かせられる選手が欲しかった。福山大貴もケガをしている状況で、ファーストチョイスが辻だった。メンバーに入っても試合に出られず、悔しい思いをしてきた選手だけど、FKの精度、質はチームナンバーワン。辻が入ったことで相乗効果も出て良かった。良い仕事をしてくれたと思う」と今大会初先発の期待に応えた教え子を称えた。

 セットプレーが大きなアドバンテージとなった。中京大中京は試合開始3分に辻が蹴った左CKをCB土生陽がヘディングでたたいて先制。しかし、立ち上がりは攻め合う展開でピンチも招いた。岡崎城西は、前半10分に相手のクリアミスを拾ったFW岡崎優希が鋭いシュートを見せて反撃の狼煙を挙げると、前半12分には何度もドリブル突破を見せた右MF原田舜平が相手の背後に抜け出し、出てきたGKをかわすように鋭角のシュートを流し込んで早々に同点とした。ところが前半16分、中京大中京が今度は右CKから辻がニアに蹴ったボールをFW小原羽矢駄が合わせてゴール。再びリードを得て前半を折り返した。

 あっさりとリードを取り戻した中京大中京は、試合のペースを譲らなかった。後半も開始早々にセットプレーから追加点を奪った。またも辻がキッカーを務め、相手DFがクリアしきれない際どいボールを供給。ゴール前で混戦を生むと、最後はDF木村祐輝がスライディングシュートで押し込んで勝利を決定付けた。さらに後半16分にはボランチの市川兼伍、サイドMFの大城佑斗、左DF水口豪のテンポの速いプレーで左サイドを鮮やかに崩すなどチームが持つポテンシャルの高さを見せつけた。一方、苦しくなった岡崎城西は、劣勢でも盛り上がりを見せる応援を背に受け、途中出場のFW榊原洸にボールを集めて逆襲の機会をうかがった。後半20分に途中出場の神垣圭哉が単独でカウンター攻撃を披露。後半28分には右CKを岡崎が頭で合わせた決定機があったが、相手GKに防がれた。

 終盤に入ると、攻め急ぐ岡崎城西に対し、中京大中京が大城を中心とするカウンター返しで脅かす展開となった。自ら仕掛けるプレーを失ったとして大会直前にはレギュラーを外されていた大城だったが「どうしても選手権には出たかった。ポジションがなくなって、自分のプレーを見てもらいたいと思った結果、自分で仕掛けるプレーを取り戻せた」と話した通り、富田不在の中で頼れる存在として価値を発揮した。試合を3-1で制した中京大中京は、エース欠場という危機を、2年生キッカー辻、輝きを取り戻した大城を中心とした中盤で乗り切った。

 フィジカル能力の高さと、ハイテンポなパスワークを武器にした攻撃で春先から高い評価を得てきた中京大中京だが、夏は全国高校総体の2回戦で敗退。プリンスリーグ東海では7位と苦しむなど、本領発揮とは言い難い成績に甘んじている。今季最後の挑戦で全国大会出場に王手をかけ、岡山監督は「うちのチームは、確かに良く(映えて)見える。でも、巧さだけで本当の強さがないと感じた。自分たちは巧い(から、当然勝てる)と勘違いしてしまったところがあるが、本来はハードワークの結果として良いパフォーマンスがある。その原点をベースにして力を出せれば、相手が(高校総体優勝の)東福岡でも(強豪ぞろいの千葉県勢の)流経大柏でも市立船橋でも戦える。今日もどこか動きが硬かったが、プレッシャーを上回る覚悟、やる気を持って臨めば、決勝戦ではかなり良い試合ができるはず」と大きな期待をかけた。勝った中京大中京は、15日に同じ会場で行われる決勝戦で、東邦高と対戦する。

[写真]前半3分、右CKから先制点を決めて喜ぶ中京大中京のDF土生陽

(取材・文 平野貴也)
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