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[選手権]善戦三鷹、平光が王者を焦らせる“幻のゴール”

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[12.30 高校選手権開幕戦 三鷹0-2東福岡 駒沢]

 第93回全国高校サッカー選手権が30日に開幕した。開幕戦に登場した“都立の星”三鷹高(東京B)は、優勝候補・東福岡高と対戦し、0-2で敗れた。前半を無失点で耐えた三鷹だが、金星を挙げることは出来なかった。

 試合後、三鷹イレブンは清々しい表情を浮かべていた。「楽しかった」。そんな言葉が各所から聞かれた。「(試合後のロッカールームで)みんな泣きながら笑っていた。『つえー』『ジャンプしてもここら辺(頭の上)に頭があったよ』って」。佐々木雅規監督も王者相手に奮闘したイレブンを称えた。

 王者と言えど、一瞬、冷い汗が流れたはずだ。1点ビハインドの三鷹は後半13分、MF平光太一(3年)が強引な突破から抜け出すと、右足でゴールに流し込む。歓喜の同点弾。しかし無情にも判定は、ハンド。ゴールが認められることはなかった。「腕に当たった感覚はあったが、故意ではなかった。なので打っちゃいました。(笛は)歓声で消されて聞こえなかった」。大歓声が一瞬でため息に変わった。

 スタンド中の声援も三鷹を後押ししていた。チケットは前売りの段階で完売。ハーフタイムには無失点で耐えた三鷹イレブンを称える拍手が、超満員のスタンドに響く。終盤、三鷹応援団が奏でる『愛は勝つ』のチャントには、手拍子が鳴り響いた。「歓声がすごかった。力になりました。怯んだら負けだと思っていた。みんな体を張ったりして頑張った」(平光)。セットプレー2発でやられた三鷹だが、流れの中で得点させなかったのは意地だった。

 三鷹高は今年度末で校名を変更し、来春からは三鷹中等教育学校として生まれ変わる。イレブンには三鷹高の名前を最後に残せたことにも満足感がある。「最後に三鷹のサッカーができた。いい終わり方が出来た」。そう語った佐々木監督の表情は、敗軍の将の姿には見えなかった。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)
【特設】高校選手権2014

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