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[選手権]監督が“得点王指令”の東福岡MF中島 「自分で決める気持ちで」開幕弾

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[12.30 全国高校選手権開幕戦 三鷹高0-2東福岡高 駒沢]

 キャプテンの一撃が夏冬連覇への“号砲”になった。0-0で迎えた後半2分、東福岡高(福岡)はDF末永巧(3年)の左CKにMF中島賢星主将(3年=横浜FM内定)が頭で合わせ、先制点。三鷹の粘り強いディフェンスとハードワークの前に攻めあぐねていたチームを救う一発だった。

「CKのとき、基本的に自分はあまり中に入らず、一番外で待っていることが多い。ヘディングの強い選手に任せるのがいつものパターンだけど、チームが苦しい状況で、自分で決める気持ちで思い切って入った結果、点を取ることができてよかった」

 観衆1万5083人が集まった選手権の開幕戦という重圧は感じていた。「緊張しないでやろうと思っていたけど、いざピッチに立つと平常心ではいられなかった」。序盤はパスが短くなるなど危険なエリアでボールを失い、カウンターを浴びる場面もあった。

「開幕戦で、あれだけの状況で、平常心でやれるかといったらそうではない。予想していた以上に難しい展開で、押し込まれるシーンもあったけど、(失点)ゼロで抑えてくれた守備陣に感謝したい」

 前半をスコアレスで折り返すと、後半立ち上がり2分のセットプレーを生かした。「キャプテンでもあるし、10番を付けている以上、チームがつらいときに、自分に何ができるかを常に考えている」。値千金の先制ヘッドには強い思いが込められていた。

 夏の全国高校総体で17年ぶりの優勝を成し遂げた東福岡だが、キャプテンの中島には悔しさも残った。小学校時代のトレセンからの知り合いで、「一緒に高め合う、いい仲間」というMF増山朝陽(3年=神戸内定)がMVP級の活躍を見せたのに対し、「自分はあまり目立てなかった。歯がゆい思いをした」と、チームの助けになるようなプレーができなかったとの思いが強かった。

 今大会を前に森重潤也監督は中島に対して「得点王を狙え」とハッパをかけている。背番号10が決めた開幕弾には、チームとしても、中島個人としても大きな意味があった。

「2冠に挑戦できるのは自分たちだけ。チームとしても、個人としても満足できる大会にしたい。優勝という最高の結果で終われればと思うし、チームのためにプレーした結果、得点王が付いてきたら最高だと思う」

 元フランス代表MFジネディーヌ・ジダン氏やMFアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)のプレーをイメージしているという“ヒガシのエース”が、03年度の国見以来となる夏冬連覇へチームを牽引していく。

(取材・文 西山紘平)
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