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[MOM1267]山梨学院FW原拓人(3年)_出来には不満見せるも「無心で蹴った」PKが決勝弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 山梨学院高 1-0 滝川二高 味フィ西]

 突然のPKキッカー指名だった。山梨学院高(山梨)の決勝点となったPKを沈めたFW原拓人(3年)だが、吉永一明監督から今日ロッカールームで言い渡されたという。本来のキッカーはMF大場祐樹(3年)が務めているが「軽い胃腸炎で昨日1日寝ていた」(吉永監督)ため、出場こそ果たしたが、万全を期して原が選ばれた。「何も考えられなかったです。無心で蹴りました」。練習でも決めているという、ゴール左隅に突き刺した。

 選手権初戦で得点を奪えたことには満足を示していた原だが、その他のプレーの出来について尋ねると、「今日は全然ダメでした」と一転して表情を曇らせる。試合前は「おさめて、さばいて」をイメージしていたというが、滝川二高(兵庫)の徹底マークにあった。マッチアップしたDF鎌田晃企(3年)は15cm低いが、空中戦では鎌谷分があったほど、原は精彩を欠いた。「緊張もあって全然飛べなかったですし、飛べないことでどんどんマイナスにいってしまって……。前半シュートを外したのもあるし、悪い方向にいってしまいました」。前半19分に訪れたヘディングでの決定機を外したことでも、自信を失いかけていた。それだけに、後半28分にPKを成功させたのは、名門校のストライカーが成せる業だ。

 188cmの長身だが、ヘディングは「ストロングポイントでも、課題でも」あるという。背番号9はさらに続ける。「ヘディングは弱くはないと思うんですけど、まだむらがあって。今日みたいな日はダメ」。しかし、初戦の重圧から解放されて、ゴールも奪えたことで、2回戦はリラックスして臨むことができそうだと表情は明るい。「(調子が)いいときは負ける気がしない」と不敵に微笑んだ。

 同校としては5年ぶりとなる優勝を目標に掲げる原が、今大会でもうひとつ果たしたいのは東福岡との再戦だ。今夏のインターハイ3回戦で対戦した際に、0-1で敗れているからだ。「強かったですけど、チャンスはあると思います」。ふたつの目標を同時に達成する可能性。それは両校が決勝に駒を進めたときだけに訪れる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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