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[MOM1274]郡山GK大谷啓悟(3年)_勝利を呼び込んだ冷静な分析と熱い雄叫び

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 東海大山形高 0-0(PK2-4) 郡山高 駒場]

 80分間をスコアレスで終えた。勝負の行方はPK戦へと持ち込まれる。郡山高(奈良)に東海大山形高(山形)のPK戦のデータはなかったものの、GK大谷啓悟(3年)は試合中に相手選手の情報を収集してPK戦に挑もうとしていた。

 郡山は県予選決勝をPK戦で制していたが、当時もゴールマウスを守っていた大谷は「予選のPK戦では緊張して、早く飛び過ぎていました」と振り返っている。しかし、この日は「今日は相手のハイボールにもあまり触れていませんでしたし、仕事ができていませんでした。ここで働かないと何もしていないことになるので、絶対に止めようとしていました」と語ったように、PK戦に向けて集中力を高めた。

 すると、東海大山形2人目のシュートをストップする。ここに、大谷が試合中に自ら収集したデータが生きていた。「PK戦での相手の情報が何もなかったので、試合中にいろいろ観察していたんです。2人目の選手はプレースキッカーで、試合中に右巻きのFKが多かったので右かなと思いました」と明かし、見事なPKストップへとつなげた。

 さらに4人目のキッカーと対峙すると、「ずっと右側を見ていたので、右に飛びました」と冷静な分析でシュートを弾き出す。2人目のシュートをストップしたときも激しい雄叫びを上げていた大谷は、またもや吠えて豪快なガッツポーズを見せた。「今まで勉強と両立をしてきて苦しかったときのこととか、いろいろ思い出したら、思わず叫んじゃいました(笑)。ただ、『決めてくれ』とチームメイトを鼓舞するためにも大きな声を出したんです」。

 5人目のキッカーとなるMF鉄羅周太(3年)が、その期待に応えるようにきっちりとネットを揺らすと歓喜の輪が広がり、大谷はその中心で手荒な祝福を受けた。「選手権は夢の舞台だったので、その舞台で思い切りやれました。PK戦で自分が止めて勝つことができて、少しはチームに貢献できたと思うと本当にうれしいです」と初出場での初勝利に喜びを爆発させた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)
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