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[選手権]「想定外」も何のその…郡山に逆転勝利の中津東が初の3回戦へ

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[1.2 全国高校選手権2回戦 郡山高 1-2 中津東高 駒場]

 第93回全国高校サッカー選手権の2回戦が2日に各地で行われ、浦和駒場スタジアムの第2試合で、郡山高(奈良)と中津東高(大分)が対戦した。前半9分に先制された中津東だったが、同33分と後半5分にゴールを奪って逆転勝利を収めた。初の2回戦突破を決めた中津東は、3日に行われる3回戦で履正社高(大阪)と対戦する。

 初戦の青森山田戦で選手権初白星を挙げた中津東。強豪高を苦しめた代名詞のマンツーマンディフェンスだったが、この日の序盤は思ったように機能しなかった。松田雄一監督が語る。「1回戦突破が目標でありましたので、選手たちが浮き足立っていたかもしれませんし、入り方がチグハグになってしまいまいた」。

 そんな中津東を尻目に、前半9分に郡山が鮮やかな連係から先制点を陥れる。左サイドでボールを受けたMF野原敦也(3年)が中央のMF松江暢也(3年)へパスを送ると、猛然とゴール前に走り込んだDF加藤諭(3年)にスルーパスが通る。加藤は落ち着いて右足で流し込み、郡山が1-0と先制に成功した。

 堅守速攻を謳う中津東は、ここから苦しんだ。激しいマンツーマンディフェンスでボールを奪い、良い守備から良い攻撃へとつなげるリズムを生み出せない。先制した郡山が無理に攻め込まずに守備に重心を置いたことで、ボールを持たされる格好となってしまった。これには松田監督も、「想定外の展開となりました。ボールを持てて出しどころもあるのに、出したところでうまく連動できなかった」と語っている。

 しかし、この苦境を背番号10を背負うFW山本隼斗(3年)が個人技で救う。前半33分、相手のパスミスをカットして一気にPA内へと侵入すると、鋭いグラウンダーのクロスで相手DFのオウンゴールを誘い、試合を振り出しに戻した。そして、1-1で迎えた後半5分にはMF奥尚輝(3年)のクロスをFW松浪竜希(2年)がドンピシャのヘッドで叩き込み、中津東が2-1と逆転に成功した。

 リードを奪ったことで、中津東は普段着を着ることとなった。「リードしてからは相手が前に出てきたので、そこからマンツーマンでハマる場面が多くなりました」(松田監督)。DF松永康汰(2年)を最終ラインの裏に余らせて、DF山田大雅(2年)、DF河野史勇太(3年)、DF福井康平(3年)らが相手に激しく寄せてマンツーマンで郡山攻撃を封じようとした。

 しかし、同点に追い付こうとする郡山の圧力に押し込まれる時間帯が続く。後半21分にはDF藁田知輝(2年)のFKからMF坂本瑞貴(3年)に決定的なヘディングシュートを放たれたものの、ゴールライン上で河野がクリアして一命を取り留める。すると、ここからGK小倉海斗(3年)が奮闘した。

 後半23分に野原に至近距離から放たれたシュートを果敢な飛び出しでブロックし、同31分には松江の強烈なミドルシュートを左手1本で弾き出す。さらに同33分には坂本のクロスから松江にダイビングヘッドを放たれるも、ポジショニング良く正面で対応した。

 その後も郡山の猛攻を受けた中津東だったが、同点ゴールは許さず。2-1のまま逃げ切って、初の3回戦へと駒を進めた。初戦での選手権初勝利に続いて2勝目を挙げたが、松田監督は「浮き足立たないようにして、3回戦に臨みたい」と同じ轍は踏まないと語ると、「次も高いハードルが待っていますが、ウチの堅守速攻を見せられるようにチャレンジャーの姿勢で頑張ろうと思います」と次戦への意気込みを示した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)
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