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[MOM1295]日大藤沢FW佐藤拓(2年)_ベンチで過ごした県予選決勝から1G1Aのヒーローへ

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[1.2 全国高校選手権2回戦 日大藤沢 3-2 高川学園 ニッパ球]

 神奈川県予選での出番は、3回戦の桐光学園戦(2-1)だけ。2014年11月8日にニッパツ三ツ沢球技場で行われた神奈川県予選の決勝でも、ピッチに立つことは叶わなかった。しかし、それから約2か月後の2015年1月2日、同じニッパツ三ツ沢球技場で行われた選手権2回戦の高川学園戦で、日大藤沢高(神奈川)のMF佐藤拓(2年)は、右ウイングで先発出場を果たした。

「県予選の決勝は出たかったけど、出られなかった。それでも、選手権までは約2か月の期間があったから、毎日の練習から『絶対に試合に出るんだ』という気持ちでやってきました」。その様子とコンディションの良さを、「常にチームにとっては一番良い状態の選手を起用する」ことを信条に置き、絶対的なレギュラーを置かない佐藤輝勝監督は見逃さなかった。1回戦の徳島市立戦では途中から起用。その試合のパフォーマンスを見て、右ウイングで高川学園戦の先発を決めた。

「FWで公式戦に出るのは、人生で初めて」と、佐藤は明かしたが、決定的な仕事をやってのけた。前半10分に右サイドを縦に突破してMF中村恒貴(3年)の先制点をアシスト。「あれは気持ち良かったですね。ああいう練習を、結構ずっとやっていたんです。GKとDFの間に通すって。あそこに出せば、絶対に誰かが走り込んでくれるっていう練習をしていたので、そこに恒貴くんが走り込んでくれて決めてくれました」と、その場面を振り返る。

 本来はトップ下やボランチとフィールドの中央でプレーする佐藤だが、選手権に出場するために、どのポジションでも出られるように自身を高めていた。その活躍は、アシストだけに留まらない。前半39分には、MF西尾隼秀(2年)のシュートを相手GKが弾いたところを詰めて、貴重な勝ち越し点まで記録した。

「西尾とは同学年だし、仲が良いんですよ。前半から相手のGKは結構、弾いていたし、西尾なら絶対に枠へボールを飛ばすと思っていたので、『絶対に弾くな、弾くとしたらここだな』と思って詰めていたら、決めることができました」

 ピッチに立つことを目指していた佐藤は、出場機会を得て、加速度的に自身が成長していることを感じ取っている。「全国の舞台で点を取れたりするのは、本当に子供の頃からの夢だったし、2か月前はこの舞台で点を取れると思えていなかったので、めっちゃ嬉しいです。地元の友達も試合を見に来てくれたりして、応援も本当に力になっている」と、自信を膨らませる。

 選手一人ひとりを、誰よりも見ている指揮官は、「佐藤は1回戦、今日の2回戦、良いプレーを見せてくれた。でも、1度や2度なら誰でもできる。これを継続できてこそ、本当の力」と、あえて厳しい言葉で期待感を示した。「ベスト8という、過去の日大藤沢の記録を更新するためにも、絶対に明日の試合も勝ちたい」。そう意気込む佐藤も、目標達成には過去2戦以上の活躍が求められることを自覚しているはずだ。

(取材・文 河合拓)
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