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[選手権予選]東京Bブロックの1回戦最注目カード、成立学園が1-0で修徳破る!!

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[9.13 全国高校選手権東京都Bブロック2次予選1回戦 成立学園高 1-0 修徳高 清瀬内山]

 第94回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選は13日、28チームによる2次予選に突入。1回戦12試合が行われ、昨年の総体予選準優勝校の成立学園高と13年度全国高校選手権8強の修徳高が対戦した屈指の好カードは成立学園が1-0で勝った。成立学園は20日の2回戦で早稲田実高と戦う。

 成立学園対修徳は現3年生が1年生だった2年前のAブロック決勝と同カード。0-2から成立学園がひっくり返した試合は修徳が後半アディショナルタイムに追いつき、延長戦の末に4-3で勝利している。その相手との再戦に成立学園のMF河口海斗は「ちょっと厳しいなと思いました。2年前の決勝でやられて、あの修徳を思い出した時に、厳しい戦いになるなと思ったので、きょうそれなりの覚悟で臨んだ」と振り返る。

 試合は河口が予想していた通りの厳しい試合に。U-18オーストリア代表候補の左SBオトゥール・コナーや俊足エースFW長島滉大ら擁する成立学園が河口とMF大野泰成を中心にボールを握って攻めるが、修徳は最初のオフェンスで相手を上回る切り替えの速いカウンターを見せる。そして存在感放ったCB中村大志主将、GK久保井寿を中心に堅い修徳の守り。球際でしっかりとチャレンジしつつ、背後へのボールに対する集中力も高い。攻撃面では敵陣でロングボールのセカンドボールを拾う回数は少なく、クロスで競るようなボールも入らなかったが、スピードのある右MF根岸航や10番MF石原海のドリブルなど一発の怖さも示していた。

 コナーが「最初、みんな硬くて、ファーストタッチも全然だった」と緊張の見えた成立学園だが29分、バイタルエリアで前を向いた長島が持ち前のスピードでDFを外して右前方へラストパス。これに決定的な形で走り込んだ河口の一撃はクロスバーを叩いてしまい、最初のビッグチャンスを得点に結びつけることができない。成立学園は33分にも右オープンスペースへの配球にギリギリで追いついたSB矢田部竜汰がクロス。これを長島がバイシクルショットで狙ったが、ボールは枠を大きく外れた。

 後半立ち上がり、成立学園はMF長田一宏の右足シュートのこぼれに大野が飛び込むがシュートはゴール左外へ。11分には長島が右サイドを突破した折り返しにMF吉村紳が飛び込んだが、右SB石原健流の必死の守りにあってしまう。「(宮内)監督がいつも言っているのはショート、ショート、ロング(での展開)。前半全然できなかったけれど、後半は少しずつ出てきて、リズムができて上手く行きました」(コナー)という成立学園は17分にもFW鈴木龍之介の突破から吉村がニアサイドに飛び込むが、シュートは修徳MF岡田拓光の必死のブロックの前に阻まれてしまう。

 それでも後半20分、成立学園はFW竹本大輝とMF萩原幹太を同時投入。元日本代表MFの宮内聡監督が「残り20くらいに彼らが入るとリズムが変わって得点生まれやすいというのは今までもあった」という成立学園が直後に先制点を奪った。23分、河口がバイタルエリアを持ち上がって右サイドへ展開すると、萩原が斜めにえぐってラストパス。これを河口が1タッチでゴール左隅へ流し込んだ。ついに均衡を破った成立学園イレブンは左手を握りしめて走り出した河口の元へ駆け寄り、直前からキャプテンマークを巻いていた河口と交代出場で大仕事をした萩原を中心に歓喜の輪をつくった。

「強かったです。引いてくるんで自分たちのサッカーはあまりできなくて、やりにくかったですね」と河口が評した修徳は、27分に前線へ大型FW望月翔を投入。左右からクロスを入れて攻め続けると、37分にはPAへ持ち込んだ石原が右足を振りぬく。だが、ボールはゴールのわずかに左へ。CB手塚翔太とCB長草優之中心に守る成立学園から1点を奪うことができない修徳はベンチ横のサブ組、金網の向こう側に陣取る控え部員の鼓舞する声の中で必死の攻撃を続けたが、3分間のアディショナルタイムにFW佐藤颯が放った右足シュートもゴール左へ外れて初戦で姿を消した。

 この夏、全国の強豪相手にも互角の戦いを見せてきたという成立学園だが、選手権の緊張感、しぶとい修徳を相手に、DFの急所へボールを運び、ゴール前へ選手たちが湧き出てくるような攻撃サッカーを展開することができなかった。宮内監督は「偽物です、まだ」と厳しい。それでも、いきなり訪れた大一番での勝利は間違いなく大きい。難関を突破した河口は「やることは変わらないので、負けたチームの分まで頑張って全国へ行けるようにしたい」。この苦戦が結果に繋げられるように、2回戦ではよりいい準備をして、よりいい内容のサッカーを展開して勝利を収める。

(取材・文 吉田太郎)
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