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[選手権予選]ユース取材ライター陣が推薦する「選手権予選注目の11傑」vol.2

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特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権予選注目の11傑』」

 ゲキサカでは各地で熱戦がスタートしている全国高校選手権予選の注目選手を大特集。「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター5氏に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第2回は、(株)ジェイ・スポーツのJリーグ中継プロデューサーを務める傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材する土屋雅史氏による11名です。

土屋雅史氏「いつも通りですが普段から重点的に取材させてもらっている東京都の高校生限定で選出しています。なお、総体予選11傑でご紹介したメンバーは今回のリストから除外させてもらいました。選手権では2年前に修徳がベスト8、昨年も國學院久我山がベスト16まで進出し、今年の高校総体では関東第一が全国4強まで駆け上がるなど、間違いなく東京高校サッカー界全体のレベルは上がっているのではないでしょうか。まずは西が丘を懸けた準々決勝が今月の17日と18日に開催され、来月にはその聖地・西が丘での準決勝と決勝が待っています。この11人はもちろん、それ以外にも個性的なタレントが各校で数多くプレーしているので、是非1人でも多くの方に高校生の真剣勝負を会場で見届けていただければと思っています。

以下、土屋氏が注目する11名
GK井上大地(東久留米総合高)
「189cmという抜群のサイズを誇る守護神。ハイボールの処理はもちろん、キックの正確さにも定評がある。昨シーズンは序盤こそレギュラーとして活躍していたものの、夏以降はベンチメンバーからも外れ、西が丘のピッチをスタンドから見つめることに。最高学年となった今シーズンも全国の懸かった総体予選準決勝ではPK戦で敗れており、味わってきた悔しさのすべてをこの選手権へぶつける覚悟はできている」

DF中村翼(関東一高)
「『ケンカができるというか、最後にペナの中でやれるのはアイツなんですよね』と小野貴裕監督も絶対の信頼を寄せるCB。その指揮官がカルレス・プジョルに例えるような、必要とあれば頭からボールに突っ込むことも辞さないプレースタイルで、総体では一美和成(大津)や永藤歩(市立船橋)といった世代屈指のストライカーとも退かずにやり合った。上背こそそこまでないものの、本人は『自信はあると言えばあります』と控えめに語るセットプレーでの得点力も魅力的」

DF野村京平(國學院久我山高)
「1年時からメンバー入りを果たし、国立での選手権開幕戦でもベンチ入りを経験。昨シーズンは3バック時の左CBと4バック時の左SBとして欠かせない戦力に成長し、とりわけ選手権では3試合を通じてMVP級の活躍を見せ、全国16強進出に大きく貢献した。最高学年となった今シーズンはディフェンスリーダーとして最終ラインを統率。1年生CBの上加世田達也を従えて、帝京以来6年ぶりとなる東京3連覇の偉業に挑む」

DFキム・ファンジ(東京朝鮮高)
「各校に先駆けて既に西が丘行きを決めた東京朝鮮の闘将CB。『あんなキャプテンは見たことない』と高隆志監督が話した彼は、Bチームの試合があれば遠くの会場でも練習後にチームメイトの3年生を連れて応援に駆け付けるとのこと。そのことを聞くと『いつも公式戦は彼らが声を出して応援してくれているので、彼らの試合も自分が見に行って応援するのが当たり前だと思っています』とキッパリ。自らの特徴を『ガッツです。根性です。朝高魂です』と言い切るキャプテンの下に、チームは例年以上の結束を誇っている」

DF境亘平(東京実高)
「春先からチーム力の評価が高く、T2リーグでも首位を快走する東京実を最終ラインから支えるCB。『アイツがいるのは大きい。寡黙ですけど“持っている”かなと思います』と片山智裕監督も認めたように、体の強さと的確なカバーリング能力を有し、1対1の勝負でも都内ではほとんど負けることはない。1年時にも西が丘のピッチに立ったキャプテンは『自分たちは1年の時から東京ナンバーワンになることを目指してやってきた』とベスト4に入った“2年前超え”を明確に見据えている」

MF野村浩輔(東海大高輪台高)
「確かなテクニックをベースに置く東海大高輪台で、10番を任されているアタッカー。『僕はスペシャルではないですけど、テクニックやスピード、フィジカルがちょっとずつある選手』と謙虚に自身を語ったものの、昨年の選手権予選準優勝校でもある実践学園高をPK戦の末に振り切った一戦では美しいゴラッソを披露。既に1年時にスタメンで西が丘を経験しているこの男の右足に、2年ぶりとなる聖地帰還は懸かっている」

MF河口海斗(成立学園高)
「良くも悪くもゲームによってさまざまな顔を見せる成立学園のコンダクター。宮内聡監督も『ウチの心臓部ですね。素直だし一生懸命走るし、非常に良い選手です』と高評価を口にする。1回戦屈指の好カードとなった修徳高戦では、3列目から飛び出して貴重な決勝ゴールも記録。ただ、試合後には『勝ったチームの分まで頑張って全国に行けるようにやっていきたいです』と相手チームをしっかり気遣うことのできる心優しき副キャプテン」

MF長倉昂哉(帝京高)
「『自分の持ち味は前に走ってゴリゴリ行く所と、ゴール前のゴチャゴチャした中でもしっかり戦う所だと思っている』と自らを分析するサイドアタッカー。とにかく縦へ仕掛ける姿勢は爽快感すら漂う。6年ぶりの全国出場を目論むカナリア軍団でキャプテンマークを託されており、『自分たちはまだ3年間通して一度も全国という舞台に立っていないので、今年は絶対に行かなくてはいけないという想いはあります』と確固たる決意を胸に秘める」

MF高橋快斗(関東一高)
「個々のレベルは今年以上とも評された昨年のチームでも出場機会を得ていた快速アタッカー。『元々サイドプレーヤーじゃなかったので、サイドで必要なものを1個ずつできるようにしていったことで基点になり始めたのかなと思います』と話すように、今シーズンから本格的にサイドでプレーし始めたものの、彼の推進力は関一のギアを上げる重要なポイント。2回戦の創価戦でも引かれた相手から2ゴールを奪うなど、得点力も着実に向上している」

MF宮崎紘也(東久留米総合高)
「今シーズンから3-4-3に挑戦しているチームの中で、シーズン序盤は右のWBを務めていたが、現在は2シャドーの一角へとスライド。『彼はFC東京U-18との練習試合でも十分通用していたからね』と話す齋藤登監督も『ウチのシンプルで素朴な選手が揃っている中では、ちょっと特異な選手なのでアクセントを付けるには良いかな』と期待を寄せる、抜群のスピードを生かした独特のリズムで突き進む個性派ドリブラー」

FW鈴木隼平(関東一高)
「夏の全国4強まで駆け上がった関一を牽引するキャプテン。そのリーダーシップは他校のある監督も『ああいうキャプテンがいるから今年の関一は強い』と言及するほど。プレー面でも総体では5得点をマークして得点王に輝くなど、持ち味の突破力に決定力も備わってきた。『今までだったら全国に出ることだけが目標のチームだったけど、ベスト4に入れて自分たちはもっと上を目指していいというのがわかったので、そこを目指すからにはもっと努力して、この夏と秋でもっと成長したいと思います』と言い切ったのは総体準決勝の敗退直後。その成長を冬の全国で披露すべく、同校初の東京制覇を虎視眈々と狙う」

[写真]土屋氏が注目選手のひとりに挙げる、関東一FW鈴木隼平

■執筆者紹介:
土屋雅史
(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。
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