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[選手権予選注目選手]帝京長岡DF大桃海斗_怪我を乗り越え、復調の気配。世代トップクラスの力を見せられるか

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 181cmの高さ、速さを備えた本格派CBで、中学時代はFWだったこともあり、足元の技術も一定以上。帝京長岡高DF大桃海斗(3年)は中学3年生の時に、初めて日の丸を経験するなど早くから将来を有望視されてきた。帝京長岡高に入学してからはFWとCBの兼任が続いたが、夏以降は「自分がチームの要にならないといけない。守備でチームに貢献しようと思った」と、CBに専念。コンスタントに代表入りし、1年生の冬には選手権出場を掴むなど、目標とするプロ入りに向けて順調だったと言える。

 だが、風向きが変わったのが高校2年生の時だった。10月に左足の第5中足骨を骨折し、選手権予選に出場することができず。「自分が怪我さえしてなければ、ベスト8で負けることはなかったんじゃないかって責任感を感じた。申し訳ないなって気持ちが強くて」と自責の念を口にした。選手権後に怪我を治したものの、ボルトを入れないと再発する恐れがあるため、今年3月に手術を実施。再び、戦列を離れることになった。

 5月のインターハイ予選からチームに戻ったものの、ブランクの影響もあり、「完璧ではない。本調子に戻るまで、もう少しかかる」と持ち味が戻らずチームは再びベスト8で涙を飲んだ。それでも、怪我の間にこなしたウェイトトレーニングのおかげで、肉体の強さは格段に上昇しているのは確か。特に首回りの太さは一回り大きくなり、高校生に身体を当てられたくらいでは、ビクともしない程だ。「プレーの質は上がってきていると思うけど、守備の面での読みや、対人プレーだったり、経験の少なさを痛感する。その分、頭を使って、上手いDFになっていかなきゃいけない」と口にするように、怪我の影響でCBとしての経験を積めなかったことは悔やまれるが、ポテンシャルの高さが同世代の中でもトップクラスなのは、変わりはない。

 本調子を取り戻せば、昨年3月にサニックス杯国際ユース大会のU-17日本代表メンバー入りして以来、遠ざかっている年代別日本代表への復帰も期待がかかるが、「入りたいって言っているだけでは入れない。チームが勝てば少しずつ注目されると思うので、結果を残すしかない」と本人は至って冷静。「全国大会に出られたのは、1年生の時の一回だけ。後は選手権しかないので、一試合一試合を大事にして成長していかないといけない」。

 本来ならば、もっとスポットライトを浴びるべき選手であるのは確か。アピール不足のため、高校を卒業してすぐのプロ入りは難しいかもしれないが、いずれそのステージに立てるだけのポテンシャルは十分にある。その可能性を示すためにも、選手権予選で負けるわけにはいかない。同年代でも群を抜く存在感を見せることができるか、彼のプレーに注目だ。

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。
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