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[選手権予選]日大藤沢が4強入り、神奈川連覇に一歩前進もヒヤリ:神奈川

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[10.24 全国高校選手権神奈川県予選準々決勝 向上高 2-3 日大藤沢高 日大藤沢高G]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の神奈川県予選は24日、2次(最終)予選の準々決勝を行い、2連覇を狙う日大藤沢高は、3-2で向上高を破って2年連続の4強入りを決めた。

 前半に3点を奪って攻撃力を示したが、後半は向上のカウンターに苦しんで2失点。勝ち上がったが、圧勝ムードは一転し、課題の残る内容となった。佐藤輝勝監督は「昨年度の経験(全国4強)で日本一という目標が現実的に見えてきた。今日もたくさんの応援をいただいた。でも、今日の後半のように何かに脅えている姿を見ても、誰も喜ばない。来週は思い切り戦う姿を見せたい」と試合展開に釘を刺し、積極性を取り戻すことを宣言した。

 前半は、日大藤沢のペースだった。前、左、右とロングパスで相手の守備陣を振り回し、サイドからコンビネーションアタックやクロス攻撃でゴールに迫った。22分、左サイドでボールを収めた左FW蛭田悠弥のスルーパスにFW住吉ジェラニレショーンが抜け出すと、相手に倒されてPKを獲得。蛭田が決めて先制に成功した。

 さらに33分、左CKを得ると相手の意表を突くショートコーナーからクロスを送り、DF中村帆高が足で押し込んで追加点を奪った。2分後には、右サイドを押し込んでから中央、左サイドと展開。オーバーラップした西尾のクロスを右MF興膳和希が決めて3点目を奪った。向上は、ボランチの佐野奨二が左足で繰り出すロングパスに対して、FW下川圭太、左MF増田力也が走るという展開で逆襲を狙ったが、決定機を作ることはできなかった。

 しかし、後半は選手交代で攻撃方法を変えた向上が反撃。左MFにスピードのある亀井佑太を投入。増田を前線に押し上げると、左から2人のコンビネーションで敵陣を一点突破。後半4分、亀井とのパス交換で抜け出た増田がクロスを送ると、日大藤沢はDFとGKが対面からボールに向かう形となり、オウンゴールを喫した。

 後半早々に1点を返した向上は、さらに加速した。後半19分にはロングパス1本で抜け出た増田が左サイドからゴールへ猛突進。相手に当たりながらも、ぐいぐいと前へ出る自分の体にボールを当て、ドリブル突破がそのままゴールへつながり、1点差へ迫った。日大藤沢は後半21分に主将を務めるDF小野寺健也を投入。チームに落ち着きを取り戻しにかかった。向上は左DF高橋健人のクロスなどで何とか同点に持ち込もうとするが、日大藤沢は小野寺がクロスをカットするなど抵抗。約2分のアディショナルタイムを含めて1点差を守り切り、勝利を収めた。あと一歩及ばなかった向上の小林賢一郎監督は「後半のプランは用意していたけど、前半に取られ過ぎた」と悔しさをのぞかせた。

 一方、勝者にも浮かれた表情はなかった。日大藤沢の最終ラインで奮闘した2年生CB工藤泰平は「相手が後半からやり方を変えるだろうということは情報があった。でも、分かっていた方法でやられてしまい、自分のミス(オウンゴール)が出て流れが悪くなってしまった。選手権って怖いなと思った。今日の自分のつまらない失点で負けなくて良かった。次につなげないといけないし、昨年以上の成績を出すためには負けられない」と次戦での再出発を誓った。

(取材・文 平野貴也)
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