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[選手県予選]前半4-0から一転、後半は我慢の展開も教訓活かして勝利!四日市中央工が全国へ:三重

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[11.14 全国高校選手権三重県予選決勝 四日市中央工高4-2海星高 三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿]

 14日、全国高校サッカー選手権三重県予選決勝が、三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿にて行われた。決勝に残ったのは2年ぶりの出場を目指す四日市中央工高と、初出場を目指す海星高。立ち上がりから昨年の悔しさを晴らすべく猛攻を重ねる四中工が次々とゴールを奪う展開となったが、後半は海星が猛反撃を展開し、終わってみれば4-2の乱打戦となった。

 開始早々から四中工はまずロングボールを多用して相手を押し込む。「最初の5分はそういう約束事だった」(MF森島司)と言うように、短くつないでリスクを負うのではなく、シンプルに蹴っていく。その様子からも「油断」の二文字はまったく見えない。相手を軽んじることなき三重の名門は、11分に早くも先制点を奪う。森島の左CKにFW原田大輝がニアで合わせる「練習どおりの形」(森島)で試合の主導権を完全に牛耳った。

「あの先制点。あれは痛かった」と海星・青柳隆監督が嘆いたように、何とか最初の10分をしのいだ直後の初めてのCKから失点するという流れはいかにもまずかった。1点を取り返しに行く流れの中で四中工の攻撃力にさらされることとなる。まず29分には森島のサイドチェンジを起点にMF上田航大が左サイドを破っての折り返しをMF小林颯が決めて、2-0。37分にも小林が決めて3-0とすると、続く38分にはドリブルで力強く持ち込んだFW伊藤圭都が見事なゴールを決めて、4-0。早くも勝負は決まってしまった。ほとんどの観衆がそう思ったに違いない、無惨な展開だった。

 だが、「選手権予選はやっぱり何か違う。普通にやればいいだけなのに、突然普通にできなくなる」(四中工・樋口士郎監督)。後半、まさかの展開が待っていた。青柳監督は「僕は『悔いを残さないで最後までやり切ろうよ』と話しただけ。選手たちが(気持ちを)見せてくれた」と振り返るが、交代策が当たったのも確かだ。ハーフタイムに二枚替えを敢行すると、そのうちの一人、1年生の10番・三輪翔真が観衆を魅了することとなった。

 まずは後半11分、FW上野智也の左サイドからのクロスに三輪翔が頭で合わせて1点を返す。決して簡単なシュートではなかったが、「ヘディングは全然(うまくない)です」と三輪翔は苦笑い。そんな意外性のあるゴールは、海星のテンションを完全に変えた。「失点したあと、相手の勢いにのまれてしまった」(小林)と四中工側が振り返ったように、ここから海星ペース。14分には上野のパスを受けた三輪翔が2点目のゴールを突き刺し、2点差へと迫ってみせた。

「これ、もしかして……?」。嫌な空気感がスタジアムに充ち満ちるなか、四中工が思うようなプレーができなくなっているのも明らかだった。2失点直後、森島主将を中心にイレブンは「ここはまず耐えよう」と意思統一する。少々不格好でも、「まず勝つこと」が大事。それは昨年の予選敗退という悔しさによって得た教訓でもある。守備にシフトを移した四中工はカバーリングを徹底して海星の攻勢を耐える構えに入る。38分に三輪翔が放った、あわやハットトリックかという強烈なシュートも、GK五十部泰造がセーブ。トータルのシュート数では9対14と海星に劣る展開となったが、スコアは4-2から動かず。四中工が2年ぶり32度目の高校選手権出場を決めた。

(取材・文 川端暁彦)

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