beacon

[選手権予選]西武台の4冠阻止!正智深谷が3年ぶり2回目の全国へ:埼玉

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.15 全国高校選手権埼玉県予選決勝 西武台高0-1正智深谷 埼玉]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の埼玉県予選は15日、埼玉スタジアムで決勝戦を行い、正智深谷高西武台高を1-0で下して、3年ぶり2回目の全国大会出場を決めた。組み合わせ抽選会は16日に行われる。

 1回戦から勝ち上がってきた正智深谷は、ここまで2度のPK勝ちを含む接戦を勝ち抜いてきた。「今日もしんどい試合になると思った。でも乗り越えられる予感はした。子供たちが本当によくやってくれたと思う」。小島時和監督は手放しで選手たちの奮闘を称えた。

 今年の埼玉県の高校サッカー界は、西武台が引っ張っていた。新人戦のタイトルを獲ると、続く関東大会予選も制覇。そして総体予選では、決勝戦でともに本戦に出場した西武文理高に4-0で勝利するなど、県内3冠を達成し、圧倒していた。

 しかしその西武台に県内で負けなしだったのが、正智深谷だった。県リーグのS1リーグで対戦すると、前後期ともに3-1で勝利。「相手は嫌な意識があるというのは人づてに聞いていた」。キャプテンのMF小島遥(3年)が話したように、逆に自信を持って決勝戦に臨んでいた。

 試合は立ち上がりにいきなり動いた。3分、正智深谷はスローインの流れからFW梶谷政仁が右サイド深くに入ると、マイナスにボールを戻す。ボールを受けたFW玉城裕大(2年)は、迷わず利き足の左足を振り抜く。「どんどん打って行こうと思っていた」。ファーサイドを狙ったシュートは、ジャストミートしなかったがこれが幸い。GK照井進太郎のタイミングを外すかのように、ボールはゴール左隅へと吸い込まれていった。

 先制パンチを食らった西武台だが、サイドからの攻撃を中心に猛反撃に出る。特にセットプレーが多く、前半だけで7本のCKを獲得。しかし15分にMF佐藤健太が蹴った右CKを主将DF小川匠が頭で合わせるが、GK戸田海斗の好セーブに遭ってしまう。同22分には相手GKのキャッチミスを誘うが押し込めず。同25分には右クロスが流れて左サイドでフリーになっていたFW橋本陸までボールが届くが、シュートはわずかに左サイドネット外に外れていった。

 後半に入っても西武台のペースは変わらない。ただ正智深谷は積極的な交代策で対応を試みる。後半18分には入ったばかりのMF新井晴樹のシュートが左ポストを叩くなど、追加点のチャンスを演出。勝利を決定づける得点こそ奪えなかったが、小島監督が「延長は考えていなかった。80分で勝負しようと思っていた」と話したように、徐々に逃げ切り体制を整えていった。

 西武台は後半も個の力、高さを生かした攻撃で正智深谷に圧力をかけた。CKの本数は前半と同じ7本。しかし、正智深谷はCBの松岡則志を中心としたDFラインが、まともに西武台攻撃陣にシュートを打たせない。そして放り込まれたボールは、GK戸田がことごとくパンチングで弾きだす。「前半のキャッチミスで吹っ切れました」と胸を張った戸田。ハイボールの処理だけでなく、積極的に前に出て、西武台の攻撃を完全に封じて見せた。

 正智深谷は現ジェフユナイテッド千葉のFWオナイウ阿道らを擁した第91回大会以来、3年ぶり2回目の全国切符を手にした。その世代を見て、正智深谷に入学したイレブンの思いもひとしおだ。キャプテン小島は現在、順天堂大でプレーする兄・小島凌が3年前に正智深谷で全国大会に出場。その時は1回戦で準優勝した京都橘高にPK負けしているだけに、「兄ちゃんを越えたい」と闘志を燃やしていた。

(取材・文 児玉幸洋)

※↑別サイトへ移動します
●【特設】高校選手権2015
●連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015

TOP