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[選手権]「東京五輪世代の逸材集結!冬の主役候補たちvol.4」市立船橋DF杉岡大暉(2年)_意識改革で成長遂げた、名門の砦

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第94回全国高校サッカー選手権

 1年の夏に抜てきされたルーキーは、瞬く間に主軸へと成長した。市立船橋高のDF杉岡大暉が台頭したのは、昨年の高校総体予選だった。長身で左利きという希少な特徴を生かし、3バックの一角でプレー。空中戦の強さと、対角線へのロングフィードを武器に堂々たるプレーを見せた。

 中学時代は、FC東京U-15深川でプレーしたが、U-18昇格はならず。「攻撃のビルドアップとか、守備の1対1が弱いところ。それを直したい。市立船橋では守備の強さが求められるので、それにてこずっている」と話しつつ、名門校で自身を磨き直したいという意欲を語っていた。しかし、全国大会では出番なし。その後にポジションを取り戻したときには「監督から何かを言われたのではなく、むしろ何も言われなくなってしまった。トップチームから落ちそうだとずっと思っていた。それまでは、ただ付いていくだけで誤魔化していたけど、通用しなくなった。何か遠慮をしていたというか、自分に制限をかけていたというか、気持ちがうまく入っていなかったので変わろうと思った。今年は、チームの中心として引っ張れるぐらいになれればと思っているし、プレーでもリーダーシップでもチームを動かせるようになりたい」と話すなど、試合に出始めてからミスを恐れて無難なプレーを選んだ弱さに気付き、変ぼうを遂げた。

 意識を高めて臨んだ今季は、欠かせない主力に成長。強い意欲を持って実戦経験を積むことで、少しずつ着実に力をつけてきた。夏には、大きな刺激を受けた。国際ユースin新潟に参加したU-17日本代表に初招集され、3戦すべてに先発。チームではCB起用が多いが、第2戦のU-17新潟選抜戦では、左DFとして思い切った攻撃参加からシュートを放つ場面もあった。「SBで出たら攻撃でもできないとダメだと思ってチャレンジした。CB、SB、ボランチも経験したことがあるけど、どのポジションでも質の高いプレーをできるようにしたい。SBなら、CBと違ってドリブルも必要になって来る。1人ぐらいは(マークを)剥がせるように、少しずつでも良いからやっていきたい。まだ自信がなくて、1対1になったらバックパスをしてしまうことが多かったので、自信を持ってやれるようになりたい」と攻撃面の課題も持ち帰った。当時は、同時期にU-18代表も合宿。「ミスが本当に少なくて、レベルが違うと感じた。U-18でも通用するように意識してやっていきたい。あのレベルに行きたい、入りたいなとすごく思った。代表での活動は、良い経験になった。レベルの高いチームで1週間プレーして、自分の基準が出来たので、今後に生かしたい」と目標を高く設定し直した。

 その後は、全国高校総体の準優勝にも大きく貢献。4バックにも3バックにも対応できる柔軟性や、声を出してチームを引っ張る姿も見られるようになり、守備力にはますます磨きがかかった。課題と話していた1対1で相手のエースを封じ込めるようになり、高い集中力で観衆が驚くようなカバーリングを見せることもある。市立船橋の伝統である堅守を体現する選手に成長した。朝岡隆蔵監督は「アイツは、ブレない」と足下を疎かにせず、なおかつ高い目標に真摯に取り組む姿勢を高く評価している。いまや、優勝候補の主軸。全国高校選手権でも注目すべき選手の一人となった。まだ2年生だが、臆するところは何もない。名門で鍛え抜かれたプレーと精神力を発揮するときがやって来た。

(取材・文 平野貴也)
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