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[選手権]チームのほぼ全得点に絡む東福岡10番中村「歴史に残るような10番になりたい」

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[1.9 全国高校選手権準決勝 星稜高 0-2 東福岡高 埼玉]

「歴史に残るような10番になりたい」。東福岡高(福岡)の10番を背負うMF中村健人主将(3年)は言葉に力を込めた。かつて“赤い彗星”こと東福岡の10番を背負った男たちは人々の記憶に残るような活躍によってチームを日本一へ導いてきた。97年度大会は雪の決勝で舞った10番MF本山雅志(鹿島→北九州)が決勝アシストなど逆転劇を演出して高校3冠を達成。翌年度にも10番MF宮原裕司(元福岡)が芸術的なループ弾を決めて東福岡を2連覇へ導いた。彼らが選手権の主役となり、東福岡を日本一へ導いたように、「本山さんとか見て伝統ある10番でチームを3冠に導いているところに憧れがある」という中村は全国2冠を達成して「歴史に残る10番」になることを目指す。

 この日は前半45分にプレッシャーをかわしながら出した左サイドへのスルーパスによって先制点の起点となり、後半12分にも右サイドからのパスで2点目の起点となった。東福岡はシュート21本を放って星稜高を圧倒したが、得点はいずれも10番が絡んだもの。今大会、中村は遠野高との初戦で先制点をアシストしたのを皮切りに、新潟明訓高戦での3アシストや準々決勝・駒澤大高戦の決勝点の起点となった1タッチパス、そしてこの日起点となった2得点などチームの全9得点中8得点に絡んでいる。

「ゲームをしっかり組み立てて、得点に結びつけるというところと1本のパスだったり、スルーパスというところで試合を決めるようなプレーがしたいです」という10番を対戦相手はゲームから消すために厳しいマーク。星稜戦でも相手ボランチのMF片山浩(2年)やMF大橋滉平(3年)に監視される中、中村は中央、サイドへと動いてボールに絡み、左右両足から放たれるパスで決定機を演出し続けた。そしてここぞの場面では自らが潰れ役になってもボールを繋いでゴールに結びつけている。この日はスリッピーなピッチの影響で不用意なボールロストをしてしまうシーンもあったが、「今までの試合に比べたら自分たちの理想の試合に近づいていると思う」と納得する内容のサッカーを展開して目標の日本一へあと一勝とした。

 中村の前任として10番、主将を務めたMF中島賢星(現横浜FM)から大会中に届いたメッセージは「キャプテンとしてチームを鼓舞できるのはオマエだけだから」。10番として、そして主将として、責任感をもってラスト1試合を戦う。「チームをまず引っ張っていうことが一番大事。チームのために動いて、その中で個人の活躍もある10番が理想」という10番がチームのために動いて、10番の仕事もして東福岡を勝たせて、歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
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