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[選手権予選]苦杯糧に挑戦者として臨む冬、遠野が岩手4連覇王手

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前半39分、遠野高はFW佐々木琢光が先制ゴールを流し込む

[10.26 全国高校選手権岩手県予選準決勝 盛岡市立高 0-3 遠野高 いわぎんスタジアムB]

 第95回全国高校サッカー選手権岩手県予選準決勝が26日に行われ、4連覇を狙う遠野高がc\盛岡市立高に3-0で快勝。遠野は11月6日の決勝で専大北上高と戦う。

 準々決勝で足首を負傷した10番MF千田夏寅主将(3年)を欠いた準決勝。遠野は長谷川仁監督が「気負いすぎたかもしれない」と語った前半、ボールを保持し、右の浅沼海斗(3年)と左のMF青沼聡(3年)の両翼の突破力などを合わせて盛岡市立ゴールを目指したが、なかなか1点を奪うことができなかった。ゲーム主将の浅沼が「みんな、自分が、自分がとなってしまった。きょうは自分がキャプテンだったので、何かを変えられればもっと早く得点を取れたと思います」と首を振ったように、攻撃が個人の突破や、やや中央に偏ってしまったこともあって、ポジショニング良くゴールを守るGK八重樫隼(3年)を中心とした盛岡市立の守りをこじ開けることができなかった。

 先発の3年生2人、2年生が9人という盛岡市立だが、準々決勝でプリンスリーグ勢の盛岡中央高を破った勢いそのままに前半は健闘。奪ったボールを10番MF下田中歩(3年)やMF岩崎達希(2年)がサイドへ展開し、MF鷹木優真(2年)やFW高橋瑞輝(2年)がカットインからシュートへ持ち込もうとする。だが、遠野は37分、早くも左サイドにMF佐々木渓人(2年)を投入。緩急を使ったドリブルを特長とするMFを送り出して流れを変えに行くと、直後の39分に連係良い攻撃から盛岡市立ゴールを破る。マークのDFから上手く離れながら浅沼のスルーパスを引き出したFW佐々木琢光(3年)が、「試合前から相手GKが前に出てこないことが分かっていた。浅沼君から裏へ良いパスが出てきたので流し込むだけでした」とシュートコースを消しに来たGKとの攻防を制す形で1タッチシュートをゴール右隅へ流し込んだ。

 欠場した千田が「(チームメートには)とにかく落ち着くってことを言いました。ここに来ると落ち着けないというのが一番あると思うので、経験した選手に味方を落ち着かせるように言いました。(それでも)前半は結構舞い上がっていたというか、落ち着いていなかったと思うんですけど、後半はいつもどおりに落ち着いてできていたと思います」と評したように、先制点で硬さの取れた遠野は後半、相手を圧倒する。サイドからチャンスを作り出し、FW阿部亮太(2年)や右SB五嶋一樹(3年)、佐々木琢、佐々木渓が次々とシュートを打ち込んでいく。盛岡市立はGK八重樫の好守などによって何とか1点差をキープしていたが、遠野は21分、浅沼の左FKをMF太田竜雅(1年)が中央で収め、入れ替わる形が抜け出した阿部がGKとの1対1からゴール。さらに24分には佐々木渓のスルーパスから佐々木琢が右足で決めて3-0とした。

「ボールを動かして相手の隙を突いていく。選択肢を持って攻撃しようと言っている。パスコースも1つだけじゃなくて2つ、3つ持ってプレーしようと言っています」と長谷川監督が説明する遠野は、その後もチャンスをつくり続けて快勝。得点数こそ3得点に終わったものの、ゲームをつくった1年生のMF太田、2年生のレフティー・阿部といった下級生も貢献して快勝した。

 選手権予選は現在3連覇中だが、今夏の総体予選は準々決勝で敗退。千田が「去年とか優勝しているけれど、今年はまだ何もしていない。チャレンジャーとして戦う」と語ったように、選手たちは挑戦者として今大会に臨んでいる。その千田が「(成長できている要因は)高総体で負けている悔しさを持っていることが一番大きい。選手同士で話しあうことも結構多い」というチームは今年、遠野市が開催地となった国体少年男子の部の試合を観戦して学ぶなど、見て、考えながらチーム力強化に繋げてきた。そして準決勝で快勝して4連覇に王手。決勝でも白星を収め、今年も冬は遠野が全国へ駒を進める。

(取材・文 吉田太郎)
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