beacon

[選手権予選]夏の全国3位から日本一へ!J1内定2選手擁する昌平が後半3発で埼玉準々決勝進出

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.29 全国高校選手権埼玉県予選3回戦 昌平高 3-0 埼玉栄高 昌平高G]

 29日、第95回全国高校サッカー選手権埼玉県予選3回戦が行われ、全国高校総体3位の昌平高埼玉栄高と対戦。後半の3得点によって3-0で勝った。昌平は11月5日の準々決勝で武南高と戦う。

 夏に大躍進を遂げた昌平が目標とする日本一へのスタートを切った。全国総体では初出場ながら、3連覇を狙った東福岡高や名門・静岡学園高に勝利するなどベスト4進出。埼玉王者として出場していたとは言え、全国的にはまだまだ強豪の評価を勝ち取っていなかった新鋭が、一躍全国区の仲間入りを果たした。その後、10番MF松本泰志(3年)のサンフレッチェ広島入りが内定し、またU-19日本代表に選出された司令塔・MF針谷岳晃(3年)はジュビロ磐田への加入が内定。J1への内定2選手を輩出したことでさらに注目度を高めて迎えた選手権予選初戦だった。

 確かに初戦の硬さがあり、針谷がマンマークをつけられ、松本が厳しいマークを浴びるなど簡単なゲームにはならなかったが、それでも藤島崇之監督が「いつも以上のプレーを求める気はないという話をしていた。できること以上のことで何か挽回しろというスタンスでなく、チームの中でちゃんとチームとしてのビルドアップ含めてつくろいができればいいと思っていた」というように、昌平は個々がそれぞれの役割を果たしながら、自分たちのリズムで攻撃を続けて3-0で勝利。目標への第一歩を踏み出した。
 
 ボールを大事に繋いで攻める昌平は抜群のスピードで相手最終ラインを破るFW本間椋(3年)を活用するなど立ち上がりから埼玉栄ゴールに迫った。9分、本間の抜け出しからMF佐藤大誠(3年)がチャンスを迎えたほか、2年生MF山下勇希の仕掛けから佐藤が決定的な左足シュートを飛ばし、針谷が“得意の”直接CKでゴールを脅かす。また松本の折り返しをMF新垣理生主将(3年)が右足で叩き、本間がワンツーでPAへ切れ込むなど攻め続けた。

 だが、埼玉栄は厳しいチェックで相手のキーマンたちに自由なプレーをさせず。また、ゴール前に入ってくるボールはCB加藤智瑛(3年)やCB鈴木翔太主将(3年)が跳ね返す。そしてキープ力を示していた左のドリブラー、山田陸斗(3年)と10番MF斉藤陽平(3年)の仕掛けや右MF石橋彪(2年)のドリブルシュート、また184cmFW吉竹歩夢(3年)の高さを活かした攻撃などで攻め返していった。そして後半立ち上がりにはPAへ侵入した山田、吉竹、MF中山裕太(3年)がシュートへ持ち込むなど攻勢に。昌平は安定感高いGK緑川光希(2年)や藤島監督が及第点を与えていた関根浩平(1年)と石井優輝(2年)の両CBがしっかりとシュートコースを消すなど対応していたが、苦しい展開となっていた。

 それでも昌平は針谷や松本が厳しいマークを浴びる中で技巧派MF山下が上手く前を向いてゲームを組み立て、本間が最終ラインを強襲。そしてこの状況の中でも存在感を示した針谷の活躍などによって埼玉栄を突き放す。14分、針谷がPA深い位置へ縦パスを入れると、後方へ佐藤が落としたボールを受けた本間がゴールヘ流し込んで先制点。そして24分には右サイドのゴールラインを割ろうとしたボールを埼玉栄GKが残したところを山下が奪い取り、正確な左足シュートをゴールヘ流し込む。この2得点によって白星を大きく引き寄せた昌平は29分にも針谷が右サイドを走る本間へ好パスを通し、その折り返しを松本がゴール。この後、松本が自ら獲得したPKをGK水間宏(3年)に止められてしまうシーンもあったが、昌平は快勝で難敵を突破した。

 夏に躍進を遂げたものの、チームが目指しているのはあくまで日本一。だからこそ、立ち止まることはなかった。全国総体準決勝で敗れた優勝校・市立船橋高に追いつき、上回ることを目指してきた約3か月間。藤島監督が「最後の局面のところのハードワークももちろん、そこでの正確なプレーも大切にしないといけない。グループのかかわりができていないところがあった」と課題を挙げる中、日本一を目指すチームは停滞することなく貪欲に成長を遂げてきている。

 針谷は「前線の崩しというのはやってきたので、やればやる分だけ自分たちの意識とかも変わってくるんで、そういうところで一回りも二回りも成長できたと思います。プレスのスピードとかも変わってきましたし、そういうところは市船も速かったんで、球際ももっと強くやっていければトップレベルに近づけると思う」。そして松本は「みんなの意識が増しましたし、パスの一個一個の精度は監督に言われていた。そういうところは意識してやってこれた。今後はもっと対策されてくる中で夏からみんな自信つけられたと思うし、かなり変われたと思います」。高い目標に本気で取り組んできたからこそ成長することができた。J内定2選手だけでないチーム力の高さも強み。躍進の夏から「また変わった」昌平がこの冬、その実力を再び全国で示す。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP