[11.5 全国高校選手権石川県予選決勝 星稜高 0-1 鵬学園高 西部緑地公園陸上競技場]

　連覇が17でストップしたことを告げる試合終了の笛が鳴り響くと、星稜高のGK高橋謙太郎主将(3年)は少しの間しゃがみ込み、その後、泣き崩れるチームメートを立ち上がらせるために歩き出した。

　14年度日本一、4年連続で全国4強以上。石川県予選を勝ち上がることが簡単なことではないことは頭の中で理解していても、意識は自分たちも全国で活躍するということに傾いてしまっていたのかもしれない。高橋は「歴史というものは塗り替えられるものだということは分かっているんですけど、それが自分たちの代で終わる(可能性がある)ということが分かっていなかったのは、敗因ですね。今年も全国の舞台に立てると思い込んでしまって、やられるかもしれないという危機感だったり、当事者としてそのことが欠けていましたね」と素直に敗因を口にしていた。

　立ち上がりから星稜の攻撃が鵬学園高を飲み込もうとしていた。CB岡田勇斗(3年)や高橋が後方から配球役となり、FW窪田翔(3年)が前線でボールをおさめ、右SB中川真太朗(2年)のロングスローやサイド攻撃からPAまでボールを持ち込んでいた。高橋は「1点入ると思っていましたし、最初の15分なんて凄く密度の濃い攻撃ができていると思っていた」と振り返る。だが、1点が遠かった。先制されても河崎護監督が「やることは決めていましたので、やり続けるだけだなと思いました」と語ったように、一度後ろで繋いでからいい形でボールを前線に配球。そして窪田を活用しながら中盤たちの背後へ抜ける動きなどを絡めてゴールを陥れようとしていた。慌てずに攻めていたが、徐々に攻撃は単調に。終盤は岡田も前線に上がってゴールを目指したが、最後まで1点が遠かった。

　今年は全国総体3回戦敗退。プリンスリーグ北信越では得失点差で3位に終わり、プレミアリーグ参入戦への出場も逃した。高橋は後輩たちへ向けて「アイツらに何もしてやれなかったというのがありますし、僕たちが連れていかないといけない舞台だった。それ(選手権)を経験できないということは痛いですけど、来年は負けを知っている分、強くなれると思っているので、県大会で負けるということがどういうことか僕らは分かっていなかったので、それを分かっている1、2年生に期待するしか無い。僕らの分も頑張ってほしいです」。果たせなかった責任に対する悔いと、後輩たちの活躍への期待を口にしていた。

　河崎監督は「悔しい思いとまた取り返すために頑張る気持ちを持って切り替えるしかないと思います」。1、2年生たちは来年リベンジを、敗れた3年生たちは次の舞台でチームに恩返しを。大学でサッカーを続ける高橋は「ここで立ち止まったら負けなんで。自分のサッカー人生において、一番デカい敗北だったので、それを乗り越えていかないと。何かが足りなかったというところを突き詰めて、次の舞台を目指して頑張っていきたい」と誓っていた。

(取材・文　吉田太郎)

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