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初陣白星も、関東一MF冨山主将「もっといい試合をして勝ちたい」。2回戦では必ず内容伴った勝利を

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後半21分、関東一高はエースMF冨山大輔が右足PKを決める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.30 全国高校選手権開幕戦 関東一高1-0野洲高 駒沢]

 初出場で歴史的初勝利。素直に開幕戦勝利を喜び、笑顔も見せた関東一高の選手、スタッフたちだが、内容については全く満足してなかった。小野貴裕監督は「純粋に内容に対しては全く満足していません。ただ、選手たちは良くやってくれたと思います」と語り、主将のMF冨山大輔(3年)も「守備陣が本当に頑張ってくれていたので勝てて良かった。きょうは本当に守備。DF陣がGKも含めて守ってくれたので、そこが一番大きかったんじゃないかと思います」と守備陣に感謝した。

 攻守の切り替えの速い野洲高にボールを奪われるシーンが少なくなかった。また個々の技術の高い野洲の前にボールを支配され、決定機も作られた。1年生MF小関陽星がボールを受けて前を向くシーンやMF篠原友哉(2年)が縦に仕掛けて決定的なクロスを上げるシーンもあったが、それでも攻めきれないことが多く、シュート数は2対12。それでも、「重田、堤、石井というのが(調子が)良いのが分かっていた。後半にウチが攻撃に行きたい時に切るカードが無いのは嫌だったので、残しておきたかった」というFW堤優太(3年)やFW重田快(2年)が交代出場で流れを引き寄せ、後半21分には冨山のパスから左サイドのスペースを突いた重田がPKを獲得した。

 そして、このPKを冨山が右足で右隅に沈めて先制点。この日、ボールロスト多かった個人、チームのパフォーマンスについて「悔しいということしか出てこないです」と下を向いた10番だが、「これ外したら本当に仲間のところに行けないなと思っていて、決めれて良かったです」というPKをしっかりと、責任を持って決めてチームの勝利に貢献した。

 関東一はテクニカルなスタイルのサッカーを特長としてきたが、この日は今年のチームらしい、我慢強い戦いを見せた。小野監督は初戦直前に数的不利でのトレーニングもやってきたと説明していたが、「最悪の想定をしていた」中で粘り強く勝ちきった。それは夏からの成長も示す勝利。夏の全国高校総体で関東一は優勝した市立船橋高(千葉)に0-1というスコア以上の完敗を喫した。「相手は自分たちよりも上手いのにもかかわらず、自分たちよりも走っていたり、そういうところも全ての部分で上回っていたので、夏はもう1回鍛えなおそうとやってきました」(冨山)。全て相手を上回ることはできなかったが、それでも最後まで集中力を切らさずに走りきって勝利。夏から取り組んできた成果を選手権全国大会初出場、そして全国1勝に繋げた

 だが、冨山をはじめ、選手たちは自分たちのサッカーに全く満足はしていない。「(試合後は)みんな自分たちが良いサッカーして勝った訳じゃないと認識していますし、次もっと良くしようという発言が多かったと思います」と冨山。全国大会の開幕戦で13,596人の観衆の中でプレーし、勝った喜びもあるが、彼らはもっと内容でも相手を上回るようなサッカーができる、また、やらなければならないと感じている。一際悔しさを滲ませていた冨山は「もっといい試合をして勝ちたい」。その思いを持って2回戦を戦い、次は内容を伴った勝利を果たす。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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