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故障の影響で途中出場、鹿島学園FW上田綺世「自分が情けない」

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敗退……鹿島学園の10番上田は大学経由でのプロ入りを目指す(右端)

[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿島学園0-1東海大仰星 ニッパツ]

 呆然と立ち尽くした。鹿島学園高(茨城)はシュート1本で終戦。全国高校選手権2回戦で東海大仰星に0-1で敗れ、2回戦敗退となった。鹿島学園高の“絶対的エース”FW上田綺世(3年)は初戦で左足股関節を痛めた影響で途中出場。後半21分から投入されたが、勝利を引き寄せることはできず。試合終了と同時に両手を腰に当て、宙を見ていた。

 2得点の活躍をみせた1回戦・高川学園戦(2-1)で左足股関節を負傷。「怪我のことは、自分が一番よくわかっていて、あの時間帯くらいが今の状態では限界」と言うように、この日の2回戦はラスト20分のプレーが精一杯という状況だった。

 0-0の後半21分に投入され、ゴールを目指した。鹿島学園の仲間たちは試合前に約束した「(上田が出るまで)絶対にゼロで抑える」を守ってくれていた。だからこそエースは結果で応えたかった。しかし、なかなかシュートが打てない。後半35分にMF島村風雄(3年)の左クロスにファーサイドで合わせたヘディングシュートが唯一のもの。上田投入後に前がかりになっていたチームは、最後の一瞬を突かれて後半40分に失点。0-1の敗退となった。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、ハーフウェーライン付近にいた上田は呆然と立ち尽くした。挨拶に来た相手選手と握手を交わすも、目は泳いだまま。敗戦の事実を受け入れられない様子だった。「実感がなかったのはあります。勝たせてあげられなかったという絶望感、脱力感……という感じでした」。鹿島学園の絶対的エースは敗戦の責任を背負い込んだ。

「自分が情けないなと思います。どんな状況でもチームを助けられないといけなかったし、ああなる前に自分が得点するべきだった。取れなきゃいけなかった。1回戦で怪我をして、こうなってしまったのは自分が悪いですし、チームに迷惑しかかけていないので申し訳ないです。痛みはありましたけど、それ以上に勝ちたかったし、チームを勝たせたかった。情けない」

 悔しさを伴って上田の高校サッカーは幕を閉じた。春からは関東大学リーグ1部所属の法政大へ進学予定。鹿島アントラーズの下部組織で育ったFWは「大学で頑張って、またプロを目指してやっていきたいです」と先へ目を向ける。

 この先もプロになる日を信じ、努力を続けていく覚悟を口にしたストライカー。共に戦ってきた後輩たちを想っては「今日も2年生が二人出ていて、頼れる後輩なので。これからも活躍してほしいし、自分たち以上の結果を出してほしいと思います。来年頑張ると後輩たちも言っていたので、自分たち以上の結果を出して、自分たちに悔しい思いをさせてほしい」と語っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)
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