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“神”には感謝してもしきれない、青森山田DF小山内「ミスをしても、ヤバいと思っても…」

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完封勝利に貢献した青森山田高(青森)DF小山内慎一郎(2年)

[1.9 全国高校選手権決勝 青森山田高5-0前橋育英高 埼玉]

 またもや「ヤバい」瞬間が訪れた――。準決勝・東海大仰星戦の前半24分、クリアミスしたボールが自ゴールへと向かい、「マジで死んだと思った」青森山田高(青森)DF小山内慎一郎(2年)。東海大仰星戦ではGK廣末陸(3年)のセーブでオウンゴールを免れると、この日も守護神に救われた。

 その場面は前半16分に訪れる。前橋育英FW人見大地(3年)が右サイドから送ったパスに反応した小山内だったが、MF高沢颯(3年)に入れ替わられてPA内への進入を許してしまう。「終わったなと…。ボールが本当に伸びて、ヤバいと思った」と感じた小山内だったが、最後方に構える廣末が高沢との1対1を制してゴールを守り抜いた。「後ろには“神”がいます。止めてくれた瞬間『ありがとうございます』と伝えました」。

 またもや廣末に救われた小山内だったが、試合開始直後に迎えた危機ではチームを救っていた。前半5分、左サイドから送られたクロスでDF角田涼太朗(2年)にヘディングシュートを放たれたものの、ゴールライン上にいた小山内がヘディングでクリア。「もしもの時のために絶対に後ろに入れと(黒田剛)監督から言われている。陸さんは全部止めるので、なかなか僕の出番はなかった(笑)」とおどけつつも、「けど、いつか来ると思っていたし、それが決勝でできた。継続してきて良かったです」と今までの努力が実を結んだことに胸を張る。

 後方に構える廣末の存在は、本当に大きかった。「自分がミスをしても、本当にヤバいと思っても、陸さんが救ってくれた。本当に信頼していたし、心強かった」。決勝の試合前には、「ラスト1試合。自分の尻拭いをお願いします」と伝えていたようだが、その言葉が現実となってしまい、再び自らのミスから招いた危機を救われた。「準決勝に続いて、感謝しています。でも陸さんは『大丈夫、大丈夫。それが俺の仕事だよ』と話してくれた」。先輩には感謝してもしきれないようだ。

 しかし、来年度は後方に“神”はいない。そして、自身は最上級生となり、チームを引っ張っていく立場となる。「3年生との最後の試合を最高の形で終われたのは本当にうれしい」と初の日本一に喜びを素直に表すと、「来年は本当に厳しい年になると思っている。簡単に『三冠』とは言えないし、ほんとに難しいことだけど、そこを目指して頑張ります」と決意を表した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)

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