beacon

グラウンド工事の期間に見られた選手たちの気付きと成長。昨年度全国4強の東海大仰星が大阪準々決勝進出

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW下柿元二郎(3年)がゴールを決めるなど、後半4点を加えた東海大仰星高が5-0快勝

[10.24 選手権大阪予選6回戦 東海大仰星高 5-0 大冠高 J-GREEN堺]

 第96回全国高校サッカー選手権大阪府予選6回戦4試合が24日に行われ、昨年度全国ベスト4の東海大仰星高が大冠高に5-0で勝利し、準々決勝へと駒を進めた。

 結果的には大勝となったが、「選手同士で今日は重要な試合だと話してきた。相手も数々の私立を倒してきた大冠で、決して簡単ではない試合だと思っていた」(MF藤原拓未、3年)との読み通り、予選連覇を目指す東海大仰星にとって楽ではない試合展開だった。

 序盤から、試合の主導権を握ったのは東海大仰星だった。ボールを持てば、素早く攻撃陣に配球し、MF西田幸誠(3年)やMF尾花優太(3年)の突破でサイドを制圧。相手エリアに入ってからは、ロングスローやCKからチャンスを伺ったが、5分に左CKから放った西田のボレーシュートがポストを叩くなど、1点が奪えないまま時間が過ぎていった。天を仰ぐような場面が続く中、試合が動いたのは前半21分。2列目からMF大嶋佑(3年)が前方にフィードを入れると、PA内へと走り込んだDF金川楓(3年)が決めて、東海大仰星が先制した。

「2点目を前半のうちに獲れればベストだったけど、獲れなかったのが痛かった」と藤原が悔んだように、以降はゴールを加えることなく折り返しを迎えたが、守備は果敢な仕掛けを挑んだ大冠のMF飯本竜太(3年)やMF上川友哉(3年)に仕事をさせず、被シュートはゼロ。そして、後半1分、東海大仰星は左CKをDF三角舞也(3年)が頭で落とすと、DF菅魁人(3年)が押し込み、白星を大きく引き寄せた。

 ここからは前半同様、相手のシュートをゼロに抑えつつ、FW下柿元二郎(3年)、金川、FW矢野修大(2年)が得点を加えて試合を終えたが、中務雅之監督は「パーフェクトかと言われればまだまだな部分がある」。藤原も「5点獲れたけど、技術や判断でまだまだな部分があるし、もっと点を獲れたとも思う」と口にしたように、修正点も見える試合だった。

 昨年度の選手権で初のベスト4に輝き、例年以上の注目を集める東海大仰星だが、今年はグラウンドの人工芝工事に伴い、6月から4か月間、学校での練習ができなかった。その間は近隣の小中学校など公共施設を借りながら、トレーニングを行ったが、100人を超える大所帯が、日々の練習をこなすだけでも大変な環境。それでも、中務監督が「地域の皆さんがいなければ、今の彼らはない。当たり前のようにグラウンドがあって、当たり前のように道具があるというのが当たり前じゃなくなった中で、自分たちが何をすべきか色んなことに気付いて行動に移せるかを考える良い時間になった」とプラスに捉えることで成長を促してきた。

「色んな場所を貸していただけたので、不自由を感じなかったし、そこでやれることを全力でやれば、自分たちのプラスになれると思っていた」と振り返るのは藤原。逆境を苦にせず、練習に取り組んだ結果、「チーム立ち上げ当初は色んなことを感じて欲しいと思っていた。昨年の3年生を見て、学校生活を含めて自分たちがどうあるべきか不安定な部分があった」(中務監督)上級生に成長が見られるという。ここから大阪府予選の難易度は更に増していくが、1試合ずつ修正と成長をしながら、東海大仰星は2年連続での選手権出場を目指す。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

TOP