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混戦の大阪制覇へ、履正社が横浜FM内定の町野2発で8強入り

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履正社高が大阪ベスト8進出

[10.25 選手権大阪府予選6回戦 履正社高 2-0 関西大北陽高 J-GREEN堺]

 第96回全国高校サッカー選手権の大阪府大会は、台風21号の影響により順延した6回戦のうち2試合を25日にJ-GREEN堺で行い、横浜FM加入内定のFW町野修斗(3年)を擁する履正社高は2-0で関西大北陽高を下して準々決勝へ駒を進めた。もう一方の試合は、関西大一高が4-1で大阪産大附高を下し、ベスト8が出そろった。

 履正社は、エースの町野が2得点でチームを勝利に導いた。風上に立った前半、積極的に前からボールを奪いに行く関大北陽の背後を狙い、ロングパスでハイサイドに起点を作ると、右MF尾登駿(3年)の縦突破からのクロスなどでチャンスメーク。前半14分、左の高い位置で左MF安羅修雅(3年)がロングパスを受けると、バックパスから左DF坂東隼(3年)がクロスを送り、逆サイドに走り込んだ町野がヘディング。冷静にゴールへコントロールしたシュートがネットを揺らし、先制した。

 町野は「あのファーのスペースは、相手が守備をしにくいブラインドサイド。練習もしていたし、そこで決められたので良かった」と安堵の表情でゴールを振り返った。履正社は、その後も尾登のドリブルや安羅の飛び出しなどで攻勢を続けたが追加点は奪えなかった。

 後半も序盤は履正社のペースだった。早々に右サイドから押し込むと、クロスからこぼれ球をシュート。相手に当たって獲得したCKのこぼれ球を2年生ボランチ島里将伍(2年)がシュート。さらに、後半14分には右からの低いクロスに複数の選手が飛び込み、ファーサイドで後半から投入されたMF弓場大輝(3年)が合わせたが、飛び出した関大北陽GK虫明亮(3年)に防がれた。

 すると、窮地をしのいだ関大北陽が徐々に反撃。風下の履正社は、試合のペースを失って行った。追いつきたい関大北陽は、後半19分に左CKのこぼれ球を左DF中林祥真(3年)が左足でシュート。後半27分に190cmほどあろうかという巨躯を誇る2年生MF片岡慎太郎を投入すると、片岡は空中戦だけでなく対人戦でも相手を弾き飛ばす強さを見せて存在感を発揮。試合は一気に関大北陽のペースとなった。

 ところが、前がかりになった相手の背後を、履正社の町野が突いた。後半37分、後半から出場したMF濱瞭太(2年)が繰り出した縦パスで抜け出して独走。GKとの1対1を落ち着いて決めて勝利を決定付けた。関大北陽は、CBで先発していた背番号10の鈴木海新(3年)を前線に上げて最後の勝負に出たが、1点が遠かった。

 勝った履正社は、エースの2発で8強入りを決めたが、平野直樹監督は「ケガ人が多く、なかなか思うようにいかない。足下ばかりでつないでいたから裏を狙えと行ったら、パスが雑になり、押し上げもなくなった。バランスの良い攻撃ができていない。スペースを有効に使いたい。2点取ったのは良かったけど、内容は良くない」と話し、渋い表情を見せた。

 2年生CB水口湧斗やFW野口天葵(2年)など負傷により主力選手が複数離脱している中で難しいやり繰りも強いられている。大会は、ハイレベルな8強のサバイバル戦となった。前回大会で全国4強入りを果たした東海大仰星高をはじめ、プロ内定3選手を擁する興國高、プリンスリーグ関西で首位を走る大阪桐蔭高など強豪ぞろいだ。

 履正社は、ベストメンバーを組めない不安を否めないが、それでも主将を務めるCB左居隼人(3年)は「ケガ人がいる中で、代わりに入っている選手が頑張っている。今日、僕とコンビを組んだ前園雄大(3年)は、1年の時からBチームでコツコツやり続けて来た選手で、実際にAチームで出て良いパフォーマンスを見せている」と総力戦で戦い抜く意気込みを示した。次戦では、関大一と対戦する。混戦の大阪府大会は見どころ満載。エースが仕事を果たした履正社は大阪の覇者となり、全国へ駒を進められるか。目が離せない。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2017

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