beacon

元Jリーガーであり、監督でもある父から学んだ「謙虚さと仲間を絶対に大切にすること」。浜松開誠館GK青嶋が仲間救うビッグセーブ

このエントリーをはてなブックマークに追加

元清水FWで浜松開誠館高の青嶋文明監督を父に持つGK青嶋佑弥主将は、好守で完封勝利に貢献

[11.3 選手権静岡県予選決勝T1回戦 加藤学園高 0-2 浜松開誠館高 草薙球技場]

 チームの指揮を執る監督であり、元Jリーガーでもある父と戦う最後の選手権だ。浜松開誠館高のGK青嶋佑弥主将(3年)の父は、同校の青嶋文明監督(元清水FW)。“親子鷹”として注目を浴びる青嶋主将は、特別な思いを持って選手権予選に臨んでいる。

「開誠館に3年間通って、自分は結果を何一つ残していない。開誠館に入って全国に出て、父のために頑張りたいという思いをもって開誠館に入ってきた中で何もできていないのは自分に対する甘さもあると思います。その中で今年の選手権への思いはとても強い。必ず全国大会に出場して、開誠館の歴史を塗り替えたい」
 
 青嶋主将は父から浜松開誠館への進学を反対されたというが、「自分はサッカーで勝負したいと思って来た」。だが、青嶋監督が「我が道を行きたい、好きなことをして帰るタイプ」と評する息子は、自分のことについては一生懸命することができるものの、周囲のために気を配ることや、仲間たちと一緒にチームを強くしていく姿勢が欠けていたという。昨冬、新チームが始動する際、卒業する3年生たちから「責任を負わせるべき」という助言も受けて、今年、青嶋主将はキャプテンマークを巻くことになった。

 以前は味方がミスすると、それに対して厳しい言葉を言いっぱなしになってしまったり、自分のミスを他人のせいにする部分もあったという。ただし、父である青嶋監督から学べたことについて「謙虚にやることです。ちょっと何かがあった時に、そこで謙虚さを失っては絶対にいけないということと、仲間を絶対に大切にすること。サッカーというのは11人でやるスポーツなので、仲間を大切にしなければ絶対にいけない」と説明する青嶋は今、仲間がミスしてもそれを自分が助けて、自分のミスも仲間に助けてもらうという互いの信頼感を持ってプレーできるようになったという。

 この日は0-0の前半26分にカウンターからDFが振り切られて決定的なピンチ。だが、「自分はこの(選手権予選の)2試合だったり、仲間に助けられてここまで来た。だから、仲間を助けないといけない」というGK青嶋が飛び出してシュートコースを限定し、ビッグセーブをしてのける。青嶋の好守もあって無失点で試合を進めた浜松開誠館は後半の2得点によって2-0で勝利した。

 父である青嶋監督は日常生活でも、グラウンドでも、息子に対して厳しい姿勢で接してきたという。息子に対する苦言は非常に多いが、「スター性がある」という大型GKの息子や浜松開誠館で成長してきた教え子たちを「全国に行かせてやりたい」と願っている。

 青嶋主将はこの日見せた活躍にも「一喜一憂せずに明日(の準々決勝)勝つこと。目標は全国大会に出て、しっかり全員で結果を残すことなので切り替えて臨みたい」と誓った。自分自身の特長について「父の影響もあって身体能力ではかなり恵まれてここまで来たと思っている。ジャンプの高さを活かしてハイボールに積極的に出ていくところだったり、キックの飛距離というのは全国に出てもかなり通用する部分があると思うので、そういう部分を活かしていきたい」という青嶋主将は、全国大会に出場すれば注目選手の一人となることは間違いない。父と、仲間と挑む選手権。浜松開誠館で学んできた「謙虚さと仲間を絶対に大切にすること」を胸に、静岡の頂点まで一戦一戦勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

TOP