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[MOM2280]関東一GK北村海チディ(2年)_圧巻セーブ連発。今年は1試合でPK5本ストップも

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ビッグセーブを連発した関東一高GK北村海チディ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権東京都Aブロック予選準決勝 関東一高 4-3(延長)東京朝鮮高 西が丘]

 3失点したGKがクローズアップされることはなかなかないことだろう。それでもこの日、関東一高GK北村海チディ(2年)が見せたパフォーマンスは圧巻だった。

 東京朝鮮高のカン・ジョンジン監督も「前のTリーグでもシュート12本打っていますけれど、(北村に)『えっ』というところを2本ぐらい止められています」と振り返り、北村に2点分くらいのシュートを止められることは覚悟していたという。だが、北村は相手の想定を上回るようなビッグセーブを5本、6本としてのけて勝利に貢献。DFラインに負傷者が出てバタついた面がある中で、北村は勝因と言えるようなプレーを見せた。

 前半18分に頭上を襲ったヘディングシュートを反応良くクロスバー上へ弾いて逃れると、前半38分には相手の至近距離からのボレーシュートを完璧な反応でストップ。後半13分にはアーリークロスで抜け出してきた相手MFのシュートを止めると、素早く体勢を立て直して次の至近距離からのシュートも驚異的な反応によって止めた。

 本人はこのシーンについて「弾く位置が良くなくて、外に弾かないといけない」と反省。それでも、凄まじい連続セーブに観衆からどよめきに近い声が漏れ聞こえていた。この後、DFラインがゴール前で競り負けたり、背後を突かれるシーンが続いて3失点。北村は止められたシュートもあったこと、味の素フィールド西が丘の独特な雰囲気の中で声を味方に通すことができず、修正点を共有できなかったことを反省していた。

 だが、延長前半に勝ち越した後にも北村はスルーパスで抜け出した選手のシュートを再び止め、その後半にもあわやのシーンで素早い反応とキャッチングで逃れるなど、関東一は2年生守護神に救われたような試合だった。

 昨年度の選手権開幕戦で北村は先輩GKの負傷によって交代出場。抜群の跳躍力を活かし、ビッグセーブを連発して華々しい選手権デビューを飾った。当時は身体能力でカバーしていた部分がまだまだあったが、守護神となった今年は、細かい部分にこだわりながら、進化を加速。「自分の立ち位置とか、一歩下がるとか意識していますし、正しいポジションを取るところや、DFを動かしてわざとそこのコースに打たせることを意識してやっています。以前よりも止めるところでしっかり止めたり、反応できたり、慌てることなくできている」と自信を深めている。

 反応の速さ、セービング力は超高校級だ。9月末に行われたYASUサッカーフェスティバルの1回戦ではプレミアリーグWESTに所属する神戸弘陵高相手に1試合でPKを5本ストップし、ビッグセーバーぶりを発揮。試合中に2本PKを止め、PK戦で5人中3人を止めると、「(会場が)『コイツ、ヤバイな』という雰囲気になっていました」(小野貴裕監督)。毎試合のようにファインセーブを見せ、チームの失点数を減らしてくれる北村の存在はチームにとっても心強い限りだ。

 全国大会に出場すれば、昨年度の選手権で主役級の活躍を見せたGK廣末陸(青森山田高→FC東京)のように、フィールドプレーヤー以上に注目を集める可能性も十分。その中で北村は「まずはきょうみたいに失点少なくすることから。次の試合を意識しながら一試合一試合勝てるように、自分が活躍するよりもチームが勝てるようにしたい」。何より大事なのはチームの勝利。そのために2年生守護神は高い意識を持ってゴールを守り続ける。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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