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全国タイトル奪還へ、“赤い彗星”東福岡がまず福岡突破!“本気の日々”過ごして目標達成に挑戦

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全国タイトル奪還へ、まずは福岡県予選を突破した東福岡高イレブン

[11.23 選手権福岡県予選決勝 東福岡高 2-0 筑陽学園高 ミクスタ]

 全国タイトル奪還へ、“赤い彗星”東福岡がまず福岡予選突破! 第96回全国高校サッカー選手権福岡県予選決勝戦が23日に行われ、15年度日本一の東福岡高筑陽学園高が対戦。東福岡がG大阪内定MF福田湧矢主将(3年)と右SB中村駿(3年)のゴールによって2-0で勝ち、5年連続19回目の全国大会出場を決めた。なお、東福岡は12月31日の全国大会1回戦で尚志高(福島)と戦う。

 東福岡、筑陽学園の両校は新人戦、インターハイ予選に続く県決勝戦での対戦。左SB国生竜生主将(3年)が「(6失点して敗れた)インターハイはバックラインが下がりすぎて中盤との間を自由に使われていたのでラインの押し上げを意識してやっていました」という筑陽学園は高いDFラインを構築し、ボールを奪ってから縦に速く、強い攻撃で押し込もうとする。

 だが、東福岡は右SB中村や左SB長尾宏清(3年)が中央にポジションを取ってビルドアップに参加。正確かつスピーディーなパスワークに加え、MF青木真生都(3年)やバックラインから正確なミドルパスがサイドに配球されていく。そして右SH沖野直哉(3年)からクロスが入るなど、ジワリジワリと筑陽学園のバックラインを押し下げて行く。
 
 そして前半15分、東福岡は長尾とのパス交換で左サイドのスペースを突いたMF田村和玖人(3年)がクロス。これを福田が頭で決めて先制点を奪った。一人ひとりの動きの幅が非常に広い印象の東福岡は、流動的な攻撃を継続。筑陽学園もエースMF梶原和希(3年)とFW中岡想羅(3年)のコンビネーションなどからセットプレーを獲得して反撃するが、東福岡は岡山内定のU-18日本代表CB阿部海大(3年)やCB西田翔央(2年)を中心とした集中力の高い守りでシュートを打たせない。

 26分、東福岡が2点目を奪う。右サイドでパスを繋ぐと、一旦後方の中村へボールを戻す。これを受けた中村がアーリークロスを狙うようにボールを蹴り込むと、ボールは風にも乗ってゴール方向へ。そのままGKの頭上を越えて逆サイドのゴールネットに突き刺さった。

 約40mのスーパーショットによって2-0。この後は東福岡が両ワイドを活用した崩し、クロスによってチャンスを量産する。筑陽学園は3点目を失ってもおかしくないようなシーンの連続だったが、GK本田聖明(3年)を中心にギリギリのところで凌いで、射程圏内の得点差で前半を折り返す。

 後半立ち上がりも東福岡が沖野の仕掛けなどから決定機を作り出したが、決めきることができない。すると、チャンスを逸し続けた東福岡の歯車が後半10分頃から狂い出す。強引な個の仕掛けからボールを失うなど攻守の噛み合わない相手に対し、筑陽学園は前への勢いある攻撃を出す回数を増やしていく。

 MF梅林昴生(3年)のロングスローや左SH龍野駿一(3年)のドリブル突破、そして後半だけで4本を打ち込んだ中岡のシュートなどで反撃。チャンスを作り出していただけに、この時間帯に1点を奪い返していれば、結果も変えることができたかもしれない。東福岡はPAでのこぼれ球を先に反応されるなど危ないシーンがあった。だが、筑陽学園の国生が「やっぱり相手の方がゴール前の粘り強さや勝ちたいという気持ちが強かった」と認めたように、要所でのシュートブロックやシュートコースを切る動きを東福岡は徹底。逆に終盤は、青木や福田を中心にゲームを落ち着かせながら試合を締めて2-0で勝利した。

 東福岡は昨年度の選手権は準々決勝で東海大仰星高(大阪)に被シュート1本で敗戦。今年のインターハイ2回戦では青森山田高(青森)に一瞬の隙を突かれてリードを許し、1-3で競り負けた。1本のシュート、1プレーの大事さを痛感させられるような敗戦が続いている。だが、この日は決定機を量産したものの、シュート15本で2得点に終わった。

 それだけに、東福岡の森重潤也監督は「もう一つ上の戦いの中で勝ちに結びつけるだけのものを、これから力をつけていかない。あれだけ決定機を作りながら決めきれないというのは、これからそれほどチャンスが無い中でゲームをきちっと勝利で終わらせるのは難しいんじゃないかと思います。(昨年の敗戦で)先輩が残してくれた財産を今の我々のメンバーが捉えながら、この何日間で全国へ本気になってやらせたいですし、本気になってやってほしい」と語った。

 福田は確実に決めてリードを広げた前半の得点を評価しつつ、「決められるチャンスはまだまだあった。(15年度全国2冠を果たした中村)健人くんたちの代はそういうところでしっかり決めて県大会で圧倒していたので見習っていきたいと思っています」。また、阿部は「シュートを打たせない守備をこの1年間やってきましたし、きょうは打たれているので修正点が出た」と引き締めた。

 “赤い彗星”こと東福岡は近年、14年、15年度のインターハイ、15年度の選手権で全国タイトルを獲得。中村が「自分たちの代で何も残していないのは悔しいというのがありますし、(周囲から)言われて反骨心もあります」というように、自分たちはまだ何も成し遂げていないという思いが選手たちの中に強くあるようだ。3年生にとって、全国タイトル奪還のチャンスは選手権しかない。全国大会まで残り1か月強。福岡5連覇、県内3冠にも満足することなく、東福岡は“本気の日々”を過ごして目標達成に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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