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ユース取材ライター陣が推薦する「選手権注目の11傑」vol.2

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土屋氏が注目するFW村井柊斗(関東一高、右)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権注目の11傑』」

 ゲキサカでは12月30日に開幕する第96回全国高校サッカー選手権の注目選手を大特集。ユース年代を主に取材するライター陣に今年も選手権注目の11選手、「選手権注目の11傑」を紹介してもらいます。第2回は(株)ジェイ・スポーツで『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当する傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による11名です。

土屋雅史氏「今回は初回に登場した森田将義さんとは対照的に、この選手権が高校生活最後の大会となる3年生に絞って、11人を選出させてもらいました。3年生にとって青春を懸けてきた高校サッカーができるのも、長くてあとわずかに2週間あまり。ここに挙げた選手はもちろん、栄えある地区代表になった48校の3年生が、選手権という最高のステージで悔いのない思い出を作れるように願ってやみません」

以下、土屋氏が注目する11人

GK緑川光希(昌平高3年)
「藤島崇之監督が『結果的に点を取られないのは彼のおかげということが多いので、アイツがいるという所でまず安定感や安心感を持っていられる』と絶対的な信頼を寄せる昌平の守護神。攻撃がフォーカスされがちなチームスタイルの中でも、昨年度の全国総体では大会優秀選手に輝くなど、その基本スキルの高さと1対1での抜群の強さがここ2年間のチームを下支えしてきた。自ら『結構喋るのは好きですね』と認める取材時のトークスキルにも定評がある」

DF鍵山慶司(青森山田高3年)
「連覇を狙う青森山田高の右サイドバックは、守備時の1対1や球際で真価を発揮する堅実なプレーヤー。加えてカバーリング能力も非常に高く、センターバックが裏を突かれた際にも、彼のシュートブロックでチームが救われる機会も多々。決して派手さはないが、絶対に欠かせない選手であることは疑いようがない」

DF松本楓大(富山一高3年)
「北信越王者として挑んだ高円宮杯プレミアリーグ参入戦でも効果的なプレーを連発し、来シーズンのプレミア復帰を手繰り寄せたディフェンダーは、3バックの右を定位置に、正確なプレー精度と高い身体能力を生かし、本職の守備はもちろんのこと、機を見ては右サイドを駆け上がってチャンスを創出。また、左の中田青同様に驚異的な飛距離を有するロングスローも、チームの大きな武器になっている」

DF塩野碧斗(昌平高3年)
「『ウチではもう中心の中心』と藤島監督も言及するサイドバックであり、自ら守備面では『1対1は中学の時にずっと練習していたので自信はある』と、攻撃面では『サイドバックは結果を出さないと評価されないのでゴールも狙いたい』と言い切るアグレッシブさの塊。『スゲーいいヤツですし、いつもはムスッとしてるんですけど、笑うとかわいいですよね』とはチームメイトの緑川の弁」

MF田部井悠(前橋育英高3年)
「県決勝で唯一のゴールを記録し、チームを全国の舞台に導いた副キャプテンは、キャプテンであり双子の弟でもある涼が『普通の選手が気付かない所に気付く所は悠の良さだと思います』と評する“気付ける”系。また、『たぶん自分が一番書いています』と自ら認めるサッカーノートでも、『物凄く的確にちゃんと書いてあるので、他の子と全然違いますね』と山田耕介監督兼校長も評価する通り、その才能を発揮する“書ける”系でもある」

MF宮本優太(流通経済大柏高3年)
「過去を振り返っても人格者の多いのが流通経済大柏高のキャプテンだが、今年その大役を務める宮本優太も例に漏れず、一度話せばすぐにわかる好青年。日本一に輝いた全国総体の決勝直後に『この大会で成長した部分もありますけど、まだまだな部分もありますし、これからやることの方が多いですね』と話していた向上心には驚かされた。中学時代から6年間共にプレーするGKの薄井覇斗と2人で、試合前に気合を入れる“儀式”にも要注目」

MF青木真生都(東福岡高3年)
「2年ぶりの覇権奪還が義務付けられた“ヒガシ”の心臓。昨年までの2年間は鍬先祐弥(現早稲田大)が担っていた中盤アンカーの大役を引き継ぎ、全体のバランスを整えながら、伝統のサイドアタックを生かすべく、左右への配球を丁寧かつ大胆に実行し続ける。タレント集団の中でも随一のサッカーIQが光る青木の活躍が、チームの浮沈を左右すると言っても過言ではない」

MF川崎航太(一条高3年)
「昨シーズンは2年生でただ1人だけレギュラーとして選手権に登場し、全国ベスト16を経験したバランサー。巧みなポジション取りは攻守両面で発揮され、相手のアタックの芽を潰したかと思えば、小気味良いドリブルやスルーパスで好機を演出。前回大会の結果を超えるベスト8進出のカギは、この気の利くアンカーが握っている」

FW中村聖鷹(長崎総合科学大附高3年)
「右サイドを主戦場に置き、プレースキッカーも任されているレフティは、高精度を誇る正確な左足を武器に、チームに展開力をもたらすだけではなく、県予選でも安藤瑞季に次ぐチーム2位の5ゴールを記録するなど、確かな得点力も兼備する高性能アタッカー。とりわけ全国総体準々決勝の流通経済大柏高戦ではハイパフォーマンスを披露し、夏の王者を最後まで苦しめたプレーが印象深い」

FW武田義臣(実践学園高3年)
「キャプテンの尾前祥奈も『私生活も凄くしっかりしているし、サッカーの練習でも絶対サボらない』とその人間性を絶賛するストライカーは、選手権予選で一気にブレイク。準決勝、決勝と共に延長戦で決勝ゴールを叩き出し、一気にチームの主役へ躍り出たが、『自分のゴールなんですけど、チームで取ったゴールだと思います』と相変わらず謙虚なコメント。全国でも10番を背負う“いいヤツ”のプレーから目が離せない」

FW村井柊斗(関東一高3年)
「『今は落ち着きながら自分の間合いでサッカーできています』と話すように、夏過ぎからプレーに余裕が出始め、チームの勝敗を背負えるようになってきた長身アタッカー。都予選準決勝の東京朝鮮高戦では、強烈ミドルに延長での決勝点と2ゴールで勝利に貢献。今年のチームでは最も指揮官から多くの注文を受けてきた中で、『前の選手がしっかり仕事ができれば勝てるチームなので、最後に点を取るのは自分だと思ってきています』という言葉が頼もしい」

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
●【特設】高校選手権2017

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