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GKも交代!前橋育英は交代枠5つをフル活用、悲願の初Vへ盤石5発発進

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10番のFW飯島陸(3年)が4ゴールの大活躍

[1.2 全国高校選手権2回戦 初芝橋本高0-5前橋育英高 ニッパツ]

 第96回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では前回大会準優勝の前橋育英高(群馬)が初芝橋本高(和歌山)に5-0で大勝し、好発進した。明日3日の3回戦では富山一高(富山)と対戦する。

 DF後藤田亘輝(3年)、DF松田陸(3年、G大阪内定)、DF角田涼太朗(3年)、DF渡邊泰基(3年、新潟内定)の4バックにMF田部井悠(3年)、FW飯島陸(3年)と、準優勝した前回大会のレギュラーを6人残す前橋育英が序盤から初芝橋本を圧倒した。

 前半7分、左サイドから渡邊がアーリークロスを入れ、飯島が胸トラップからフィニッシュまで持ち込むが、GK濱田太郎(3年)がセーブ。同8分には田部井悠の左CKからセカンドボールを飯島が強烈なミドルシュートで狙ったが、ここも濱田のファインセーブに阻まれた。さらに同9分、田部井悠の双子の弟でもあるMF田部井涼主将(3年)の右CKから最後は松田がシュート。しかし、またも濱田が左足で止めるビッグセーブを見せた。

 先取点へ攻勢を強めていく前橋育英は前半11分、右サイドを駆け上がった後藤田が意表を突くミドルシュート。これは惜しくもクロスバーを叩いたが、同16分、ついにゴールをこじ開けた。MF塩澤隼人(3年)の縦パスからMF五十嵐理人(3年)がワンタッチで前線にスルーパス。スペースに走り込んだ飯島が右足ダイレクトでゴール左隅に流し込んだ。

 2年生から10番を背負うエースは前回大会の1回戦・明徳義塾戦(3-0)でも先制点を決めており、2大会連続でチームの第1号ゴールをマークした。前半25分には五十嵐のスルーパスに抜け出したFW榎本樹(2年)がGKを引き付けて横パス。飯島は無人のゴールに流し込むだけだったが、シュートはGKに当ててしまい、追加点の絶好機を逃した。

「前半、1点取ったあとにビッグチャンスがあったが、決め切れなかった」とは前橋育英の山田耕介監督。前半のシュート数は10本対0本。前半32分にも飯島のダイビングヘッドがゴール左へ外れるなど、飯島は一人で4本のシュートを放ったが、2点目を取り切れない。前半で1-0というスコアには物足りなさも残るほどだったが、後半に入ると、その飯島が爆発した。まずは後半立ち上がりの4分、榎本がPA内右で仕掛け、右足でシュート。GKが弾いたボールを飯島が押し込んだ。

 防戦一方の初芝橋本にアクシデントが襲う。左サイドバックのDF高見祐哉(3年)が右膝を痛めたか、プレー続行不可能となり、後半8分にFW大谷澪紅(1年)を投入。大谷は2トップの一角に入り、FW岡村修哉(2年)が左サイドハーフ、MF西淵寛斗(3年)がボランチ、MF家本大渡(3年)が左サイドバックにそれぞれポジションを下げた。

 2-0とリードを広げてからもボールを支配し、主導権を握り続ける前橋育英は後半14分、左サイドから渡邊がロングスローを放り込み、ワンバウンドしてファーサイドまで抜けてきたボールを飯島がヘディングで押し込んだ。飯島のハットトリックで3-0と突き放すと、同28分にも自陣から角田が左足で一気にロングフィード。最終ラインの背後を取った飯島が正確なトラップから飛び出してきたGKもかわして無人のゴールに左足で流し込んだ。

 飯島の4ゴール目で4-0とダメを押した前橋育英は最後まで攻撃の手を緩めない。後半35分、高い位置からプレッシャーをかけた田部井悠がボールを奪い、そのままドリブルでPA内に進入。冷静に横に流し、途中出場のFW宮崎鴻(3年)が右足で流し込んだ。

 5-0と大量リードを奪った前橋育英は今大会から1枠増えた交代枠5つをフルに使い切った。昨年12月30日に開幕した今大会は今月8日の決勝まで10日間で行われる超短期決戦。決勝まで見据えた場合、31日に1回戦を戦ったチームは9日間で6試合、前橋育英のように2回戦が初戦のチームでも7日間で5試合を戦う必要がある。

「5人代えられるのはすごく大きい」と話す山田監督は後半37分からGK湯沢拓也(3年)に代えてGK松本瞬(3年)も起用。「これから先、何があるか分からない。ちょっとでも出しておきたかった」と、主力選手を休ませるだけでなく、不測の事態を想定した準備にも余念がなかった。

 大胆な采配には前回大会の苦い経験もある。決勝で青森山田に0-5で大敗し、悲願の初優勝を逃した前橋育英だが、山田監督は「なんで動けないのかと。最後の一歩が出なかった」と、選手の疲労蓄積もその敗因に求めた。前回大会は1回戦から出場した前橋育英に対し、青森山田の初戦は2回戦。「去年の青森山田は(決勝が)5試合目で、僕らは6試合目。その1試合は大きい」。前回以上の過密日程となる今大会は、選手の疲労回復やコンディション調整を含めたマネジメントが何よりも重要になる。

 連戦となる明日3日の3回戦では、この日の2回戦で優勝候補の一角である東福岡(福岡)を破った富山一と対戦する。今大会2試合目となる前橋育英に対し、31日の1回戦から勝ち上がってきた富山一は3試合目。「その差も大きい」と山田監督は話す。富山一は東海大熊本星翔(熊本)との1回戦で交代カードを切らず、この日の東福岡戦も選手交代は一人だけだった。“余力”でまさるのは前橋育英か。東福岡撃破で勢いに乗る富山一を跳ねのけ、まずは4大会連続の8強切符をつかみ取りたい。

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2017

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