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[MOM2614]東海大相模MF中山陸(3年)_特別な思い持って臨む選手権の初戦、J相手に見せた「決める力」発揮

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東海大相模高の甲府内定MF中山陸は2得点1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.22 選手権神奈川県予選2次2回戦 東海大相模高 3-2 湘南高 かもめパーク]

 前半10分ほどで最注目プレーヤーのユニフォームは、首元の部分が破れていた。湘南高は東海大相模高の甲府内定MF中山陸(3年)に対して激しい守備。彼にボールが入ると、FWと中盤の選手で必ず挟み込み、球際では競り負けないように手も使って厳しくチェックしていた。

 だが、「違い見せるようにというのは甲府の人からも(有馬信二)監督からも言われていた」という中山は、2得点1アシストの大活躍。特別指定選手として出場したルヴァンカップ・柏戦(第1戦)で“J初ゴール”を挙げるなど、「決める力」を持つMFは相手に違いを見せつけた。

 前半から厳しいマークの中でもボールをドリブルで運び、サイドチェンジでテンポを変えていたMFは、後半に3得点をもたらした。まずは0-1の7分、右SB島田惇広(2年)が獲得したPKを得意の右足で決めて同点ゴール。さらに11分にはパスワークからPA内右中間でボールを受ける。右に持ち出してシュートコースを自ら作り出した中山は、そこから正確な右足シュートを逆サイドのゴールネットに沈めて見せた。

「落ち着きというのが持ち味ですし、ゴール前でも焦らず、すぐ打つとか足振るのではなくてワンテンポ待つとか、そういったところがあのゴールになったと思います」と中山。有馬監督も「さすが。落ち着きが違う」と唸った一撃に加え、CKからFW吉田浩太(3年)のゴールもアシストして試合を終えた。

 高精度の右足や視野の広さに加え、勝負どころで「決める力」を持っていることが彼への期待をさらに膨らませている。本人は「選手権は結果しかなくて勝つか負けるかですし、その中で自分絶対に決めたいという気持ちがあるし、自分が決めてチームが勝てるようにしたい。このメンバーでやるのも最後ですし、絶対に全国に出るという気持ちでやっていけたらなと思います」とコメント。特別な思いを持って選手権に臨む中山は、自身の特長でもあるゴールを決めてチームを勝たせるつもりでいる。

 ルヴァンカップ準々決勝で2試合連続先発。真剣勝負の中でゴール、アシストも記録して甲府サポーターを驚かせたが、一方で中山自身が凄いと感じる部分もあったという。「普通に見て凄いなと感じたのは柏のクリスティアーノ選手。自分の間合いを持っているし、当たられても当たり負けしないし、全然シュートスピードも違う。打ったらもうゴールポストの横にあるよ、みたいな。全然違っていて驚きでした」。高いレベルの中ではファーストタッチを決めないとDFにあっという間に距離を詰められてしまうという部分や、パススピードの速さという部分は自身で意識し、東海大相模に還元している部分。成長に貪欲で、Jリーグや招集が有力視される年代別日本代表を経験するたびに成長を加速させていきそうなMFは、その成長の成果を選手権で必ず示す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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