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「オレが親父を男にする」と宣言してから3年。東海大相模MF有馬は父とともに臨む最後の選手権

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東海大相模高MF有馬和希は攻守に渡って勝利に貢献

[9.22 選手権神奈川県予選2次2回戦 東海大相模高 3-2 湘南高 かもめパーク]

 父とともに選手権の舞台に立つ。関東大会予選優勝校・東海大相模高のチームリーダー、MF有馬和希(3年)は同校の有馬信二監督の息子。父とともに挑む「最後の選手権」がスタートした。

 この日、トップ下からボランチへポジションを変えた有馬はハードワークする部分など良さを発揮していた。「守備もしつつ、ボールを奪ったら後ろからスピードに乗った状態で攻撃に行けるのでボランチの方が良いかなと思います」。本人は徹底マークを受けたこの日のプレーについて満足していなかったが、それでも甲府内定MF中山陸(3年)やMF中島優太(3年)とともに技術とポジショニングを駆使。試合を通してボールを受けて、さばき続けた。
 
 父も「ボランチになってから良くなった。守備もハードワークしてくれる。これからもチームを助けてくれれば」と期待する。チームは前半こそ0-1で折り返したものの、後半の3得点によって逆転勝ち。選手権初出場への第一歩を踏み出した。

 有馬はSC相模原U-15に所属していた3年前、選手権予選で東海大相模が1次予選3回戦で敗れた試合を観戦。その試合後、帰宅した父に「オレが親父を男にする。オレ、相模に行く」と宣言したのだという。進路については本人の意志に任せていた父は「来たら面白いだろうけれども、来ないだろうなと。東京の私学に行くと思っていた」と振り返る。翌春、有馬は仲の良かった選手や父が注目していた選手に声を掛けて、彼らとともに東海大相模の門を叩いた。

 チームの基盤づくりにも一役買った有馬は昨年、チームの中心選手の一人としてインターハイ初出場を果たし、全国1勝。だが、同年の選手権予選は準々決勝で敗退した。この冬は父とともに選手権の舞台に立つ最後のチャンス。父とともに選手権出場、そして全国制覇したいという思いは「日に日に強くなっています」と明かした。

 今年は関東大会予選で優勝したものの、インターハイ予選は全国出場を懸けた準決勝で敗退。全国で戦うことができていないだけに、選手権への思いはまた強くなっている。この日、リードされる中でも落ち着いてプレーしていた有馬だが、味方のゴールの際には誰よりも喜んでいるように映った。

 特別な思いを持って戦う選手権。「目標は全国大会優勝なので、そのために一試合一試合、成長して行けたら良いと思います。個人としてはチームの中心となって、みんなの良いプレーを活かせるように。チームとしては、一個一個勝ってまずは予選を突破して本大会に行きたいと思います」。この日、東海大相模は相手の高さに苦戦して2失点も、自慢の攻撃に関しては全国でも十分に通用するレベル。激戦区・神奈川突破へ、有馬はチームの中心として戦い、父とともに夢を叶える。
 
(取材・文 吉田太郎)
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