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元群馬GKの北監督率いる金沢学院が初の決勝へ…下級生中心も後半AT弾で鵬学園に粘り勝つ:石川

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金沢学院が後半アディショナルタイムに決勝点

[10.27 選手権石川県予選準決勝 金沢学院高 1-0鵬学園高 金沢市民サッカー場]
 
 第97回全国高校サッカー選手権石川県予選準決勝が27日に行われ、初の決勝進出を狙う金沢学院高と2年前の王者、鵬学園高が激突。後半アディショナルタイム1分に奪ったFW安田澪司(1年)のゴールで金沢学院が1-0で勝利した。11月4日の決勝では星稜高と対戦する。

 ザスパクサツ群馬のGKとして活躍した北一真監督が率いる金沢学院がチーム史上初となる予選決勝進出を決めた。「“絶対に負けたくない”ではなく、“絶対に勝つ”ということを今週1週間強く言ってきた」(北監督)金沢学院がこの試合でポイントとしたのは、鵬学園のキーマン封じだ。「鵬学園は輪嶋くんと坂本くんにボールが入ったら嫌だと分かっていた」。試合後、北監督がそう明かしたように攻撃のリズムを作るMF輪嶋拓海(3年)と、前線でのボールキープに定評があるFW坂本健太(2年)を徹底的に監視することで、鵬学園に決定機を与えない。

 それでも鵬学園は、前半15分にFW藤井将大(3年)のパスからMF坂本昂征(3年)が左足でゴールを狙ったが、枠の外。38分には低い位置でボールを受けた坂本健のスルーパスからゴール前を抜け出したMF樫木雄飛(3年)がシュートまで持ち込んだが、金沢学院の堅守を崩せない。赤地信彦監督が「うちも相手の隙を突こうと思っていたけど、グラウンドの状態が悪くボールが動かせないうちにビビッてしまった」と振り返ったように、鵬学園は消化不良のまま時間が過ぎた。

 狙い通りの守備で鵬学園を無得点に抑えた金沢学院だが、一方で攻撃の機会は少なく前半のシュートは0本。それでも、北監督は「相手の方が格上なので、点が獲れずに焦れてくるのは向こう。焦れてくる瞬間を待って、ワンチャンスを狙っていた」と意に介さず、後半も我慢強く試合を進めて行く。前半の戦いから軌道修正し、MF河村怜皇(2年)の散らしから、左SB小浦里久斗(3年)の攻撃参加を多用する鵬学園に押し込まれる場面が続いたが、「崩されても中でDFが弾いてくれるので、サイドは相手にやらせるようなイメージでいた」(FW川嶋凌太、2年)と要所を封じ、無失点を続けた。

 試合が動いたのは、延長戦突入間近の後半アディショナルタイム1分だった。相手の右CKを防いだGK表孝史朗(2年)がキャッチングから素早くロングキックを前線に展開。「練習していた通りの形」と振り返る川嶋がドリブルで運び、ゴールを狙った。このシュートは惜しくもGKに阻まれたが、こぼれ球を安田が押し込み、勝負あり。少ないチャンスを物にし、勝利を手繰り寄せた北監督は「誰か一人を褒めることができない。凄く守備が良かったし、前も頑張っていた。応援も素晴らしかったので、部員全員で勝った試合」と口にした。

 大会に登録された3年生はわずか2人。金沢学院は就任1年目で北監督が「全国大会に出よう、一緒に全国制覇しよう」と声をかけた下級生が大半を占める若いチームだ。昨年までは芳しい結果を残せずにいたが、今年はインターハイ予選でもベスト4まで進出。「今は僕も楽しくやらせてもらっている。あるクラブの指導者から、選手が良い顔をしていると言ってもらえたのが嬉しかった」と振り返るように、真剣勝負を楽しむ選手が増えてきた。

 次の対戦相手は、北監督が高校時代を過ごした母校・星稜。県勢最多の選手権出場数を誇る強豪だが、容易く負けるつもりはない。「1位しか見られない景色を見させてあげたい」と北監督が意気込むように、母校が相手だろうと全力で勝利を狙いに行く。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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