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[MOM2785]帝京長岡GK猪越優惟(2年)_「お前、最高だよ」3/19本、のべ38人目をストップ!歴史的PK戦のヒーロー

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歴史的PK戦を制したGK猪越優惟(2年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 帝京長岡2-2(PK17-16)旭川実 NACK]

 高校サッカー史に残るPK戦を制した。PK17-16。大会史上最多、のべ38人が蹴ったPK戦で帝京長岡(新潟)のゴールマウスを守ったGK猪越優惟(2年)は3本をストップ。旭川実19人目のPKを止め、歓喜の瞬間を迎えた。

「最高ですね。これでヒーローになれた。やっとチームの役に立てたと思っていて、試合中もゴールカバーしてくれて失点しなかった場面もあったし、チームメートのおかげで自分がヒーローになったので、感謝しないといけないなと思います」

 まずは先手を取った。帝京長岡の1人目キッカーDF小泉善人(3年)が成功すると、後攻・旭川実の1人目と対峙した猪越はコースを読んで横っ飛びでストップ。しかし、帝京長岡も4人目が失敗し、サドンデスに突入。自身も11人目でキッカーを務めて豪快に蹴り込み、きっちりと成功。「全然準備していなくて、(順番が)来た時はビックリでした」と驚いたが、まだまだ先は長かった。

 対峙した11人目の相手GK小竹唯貴(2年)には逆を突かれ、2巡目に突入すると、帝京長岡の13人目が失敗してしまい、決められたら敗退という絶体絶命の場面を迎えた。ゴールマウスに立った猪越は「絶対に止めてやる」とプレッシャーを跳ね返し、再びタイミング良く横っ飛びでかき出し、2本目のストップ。そこから両チーム5人が連続で成功すると、帝京長岡19人目のFW矢尾板岳斗(2年)が右足で沈めた。

 迎えた旭川実の19人目。猪越はキッカーのフェイントにも動かず、「斜め前に飛ぶことと、下から行けたので触れたと思います」とコースを見極めて飛び出し、見事にストップ。練習でも経験がないという長い長いPK戦は大会史上最長。のべ38人が蹴ったキック全てが枠を捉えたことも衝撃だった。

 帝京長岡は2013年度、16年度と2大会連続でPK戦の末に敗退していたが、「止めたらヒーロー」と奮い立ち、高校サッカー史に名を刻んだ。先輩からは「お前、最高だよ」と声をかけられ、谷口哲朗総監督も「ヒーローは毎試合出てこなきゃいけない。今日は間違いなく猪越」と称賛。サッカー人生でまたとないであろうPK戦を制した守護神は「自信はつきました。楽しんでできたのは良かったです」と胸を張った。

(取材・文 佐藤亜希子)

●【特設】高校選手権2018

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