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PK戦でGK持田2本ストップ!国際学院が花咲徳栄振り切り、埼玉ベスト8進出!

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PK戦を制した国際学院高イレブンが歓喜のダッシュ

[10.26 選手権埼玉県予選3回戦 花咲徳栄高 1-1(PK3-4)国際学院高 昌平高G]

 26日、第98回全国高校サッカー選手権埼玉県予選3回戦が行われ、インターハイ予選4強の国際学院高と花咲徳栄高が激突。1-1で突入したPK戦の末、国際学院が4-3で勝った。国際学院は準々決勝で埼玉栄高と戦う。

 先制したのは花咲徳栄だった。前半28分、10番MF七海永遠(3年)の左クロスをファーでフリーのFW三橋由詩(2年)が頭でゴールに突き刺す。だが、攻撃力を特長とする国際学院はその3分後、10番MF佐野佑真(3年)が左サイドを強引に突破。そして、クロスをFW小河原龍太(3年)が頭でゴール右隅に流し込んだ。

 FC Lavidaジュニアユース出身の小河原は中学時代のホームグラウンドで鮮やかなゴール。この日、仲間たちのためにも「何とか結果を出さなければ」という特別な思いを持ってピッチに立っていた小河原は涙を流してゴールを喜んだ。

 追いついた国際学院は佐野やMF下口竜空(3年)ら突破力秀でた選手がサイドの局面を打開するなど相手にプレッシャーをかけていく。一方、後半に入ってやや押し込まれる展開の続いた花咲徳栄だが、GK高野悠(3年)が安定感の高いプレーを続けるなど決定打を打たせない。そして、七海のキープ力や前線のスピードを活かして攻め返していた。

 だが、花咲徳栄は後半21分に退場者を出してしまうアクシデント。一方、数的優位を得た国際学院は畳み掛けようとするが、佐野が「サイドを崩せなくて攻撃が中、中になってしまっていた。サイドと中を上手く使い切れなかった」と振り返ったように、中央からの強引な攻撃はCB和田遼(3年)、CB保竹利紀(3年)を中心とした花咲徳栄DF陣に跳ね返されてしまう。

 10人で粘る花咲徳栄は高野のロングキックや左SBへ移った港蒼太(2年)の攻め上がりなどで押し返し、セットプレーからチャンスも作る。そして後半32分、七海が右サイド後方から蹴り込んだFKをファーサイドの和田が決定的なヘッド。だが、国際学院GK持田瞬也(3年)が反応し、手で弾いたボールはポストを叩いてゴール外側へ外れた。花咲徳栄は40分にMF神志那新(3年)が放った左足ボレーもわずかに枠上。国際学院もサイドからの崩しでチャンスを作るが、決めることができずに試合は延長戦に突入した。

 国際学院は延長戦でも交代出場のFW中谷力(3年)やMF阿部智広(2年)の仕掛けから決定機を作り出した。だが、花咲徳栄は保竹が執念のクリアを見せるなど得点を許さない。国際学院も切り替えの速い守備を徹底。計20分間の延長戦でもスコアは動かず、決着はPK戦に委ねられた。

 国際学院のGK持田と花咲徳栄のGK高野は幼馴染。持田が先攻・花咲徳栄3人目のシュートを止めると、直後に高野が止め返す。すると、PK戦途中にもかかわらず2人は互いの好守を称え合うかのように抱擁。珍しい友情シーンも見られた好勝負は、5人目に決着がついた。GK持田が右へ跳んで左手で弾いたボールはポストを叩いて外側へ。国際学院は直後に佐野が右足で決めて熱戦に終止符を打った。

 国際学院の酒井宏治監督は難しい勝ち切った選手たち賞賛。「(良い意味で)激しく面白いゲームだったと思います」とコメントした。一方で「ウチは点の取り合いにならないと。国際らしくはならない。ゴール前で圧倒して欲しい」と指摘。テンポの速い攻撃から得意とする打ち合いに持って行くことを求めていた。

 13年ぶりの4強進出まであと1勝、国際学院は目の前の一戦一戦に全力を尽くしながら、全国出場を目指す。小河原は「きょう勝てたのは運というのも少しある。このまま全国にみんなで行きたいです。守備では前からガンガン行って、奪ってからテンポよく繋いでゴールまで行きたい」と誓い、佐野は「今回は全国出ることを目標にやっているので、必ず出たいと思っています」。今年昇格した県1部リーグで揉まれながら、着実に力をつけてきた国際学院が攻めて歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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