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33年ぶり県新人戦優勝世代の東北学院。聖和学園に敗戦も粘り強い守備と前への姿勢示す:宮城

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東北学院高の先発イレブン

[10.27 選手権宮城県予選準決勝 聖和学園高 3-0 東北学院高 ユアスタ]

 最終的なスコアは0-3だったが、東北学院高は個々の技術力高い聖和学園高相手に堅守速攻で対抗。ドリブル突破を繰り返し仕掛けてくる相手に対し、3人、4人がサポートする形でチャレンジ&カバーを徹底する。例え1人がかわされてもCB高橋和希(3年)やCB丸川千陽(3年)がカバーしてゴール前への侵入を許さない。

 右SB鈴木泰智(3年)が相手との1対1をストップするなど好守が出るたびにスタンドが盛り上がっていた。「粘り強くやればチャンスはある」(橋本俊一監督)の言葉通りに、非常に粘り強く、集中した守りを継続。そして、専守防衛に徹するのではなく、攻撃でゴール前に入る人数、回数を増やすというゲームプランを持っていた東北学院は奪ってから前に出ると、10番を背負う左SB佐藤大河主将(3年)のクロスなど狙いとしたシーンも作り出していた。

 前半に関してはFW熊谷悠里(3年)へのロングボールなど、前に急ぎすぎて攻撃が単調になってしまっていた。橋本監督からはサイドを活用する指示が再三出ていたものの、相手のプレッシャーが速く、落ち着いた攻撃をすることができない。それでも、前半を目標通りにゼロで終えることに成功した。

 リーグ戦での対戦の経験から、後半に聖和学園が攻撃を変化させてくることも想定済み。だが、11分にCKから喫した失点が痛かった。東北学院は佐藤を前線に上げてそのクロスなどから反撃。22分には攻撃的ボランチMF小田尚輝(2年)も送り出して攻撃に厚みを加える。一方で2点目を与えないことがノルマとなっていたが、23分、一瞬の隙を突かれて2点目を奪われたしまった。

 それでも諦めずにまず1点を目指した東北学院は27分、小田の左アーリークロスからMF小林優太朗(3年)が決定的な右足シュートを放つ。この後もパワーを持って前に出ていた東北学院だったが、聖和学園の壁を最後まで破ることができず、アディショナルタイムに3失点目。それでも、橋本監督は「守備だけで終わることが多いけれど、前に行く姿勢というのは見せれた」と頷いていた。

 現3年生は昨秋の県新人戦決勝で聖和学園を延長戦の末に破り、33年ぶりに優勝。その代でも87年度以来となる選手権出場を果たすことはできなかった。それでも好守を見せたGK菅野輝人(2年)やMF阿部凌真(2年)、小田らが強敵相手に対抗。日本代表GKシュミット・ダニエルを輩出している東北学院は、経験を積んだ下級生を中心に課題を一つ一つ改善してまた全国出場にチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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