beacon

親から「頑張れよ」の一言…山梨学院MF平松柚佑、伝えたい「ありがとうございました」

このエントリーをはてなブックマークに追加

山梨学院高MF平松柚佑(3年)

[11.2 選手権山梨県予選準決勝 山梨学院高0-1日本航空高 中銀スタ]

 キャプテンマークを巻く男は、試合終了直後は肩を落とす仲間に声をかけていた。しかし、山梨学院高MF平松柚佑(3年)は整列をしてあいさつを終えると、流れる涙を抑えることができなかった。

 昨季王者である日本航空との準決勝。前半11分にオウンゴールで先制点を献上すると、その後も山梨学院はエンジンがかからない。「航空のハイプレッシャーに一人ひとりが球際で負けてしまったところがあった」と相手の守備に苦しみ、なかなか攻撃の形を作れず。終盤にはパワープレーに打って出たが、最後まで日本航空のゴールをこじ開けることはできなかった。

「来たところをはがして、逆サイドを使ったり、自分たちのサッカーができなかった。そこが敗因だと思う」

 1年生のときから選手権の舞台を経験してきた。そして、2年生の夏にはインターハイ制覇を成し遂げ、全国の頂点に立った。しかし、最上級生となり、キャプテンに就任した今年度、最後の選手権の舞台に立つことは叶わなかった。準決勝敗退の直後、高校サッカー3年間を振り返ると、「一言でいうなら感謝」が頭に浮かんだという。

「1年生から実力も大したことがなかったのに試合に使ってもらった。2年生で良い先輩に引っ張ってもらい、1年間試合に出させてもらい、インターハイ優勝を経験させてもらった」と指揮官や先輩、仲間へ感謝。そして、「1番に感謝しないといけないのは親です」と続ける。

「高校を決めるのも親に相談しなかった。練習参加させてもらい、自分がここが良いと言ったら、『頑張れよ』という一言だけ言って、快く山梨学院に送り出してくれた。小中高と何一つ口を出さず、自分の気持ちを最優先に考えてくれた親に『ありがとうございました』と伝えたい」

 全国へとたどり着くことはできなかった。しかし、平松の戦いはまだ残されている。残り4試合となった県リーグに向け、「3年生が山梨学院にいるプライドを見せて戦っていきたい」と最後の最後までチームのためにピッチ上を駆け回る。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2019

TOP