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内定した山口で“日本のラポルト”へ。暁星国際の左利きCB国本は同じ「14」背負う憧れの存在のように

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暁星国際高の山口内定CB国本玲央は存在感のあるプレーを見せた

[11.10 選手権千葉県予選準々決勝 翔凜高 1-1(PK4-2)暁星国際高 柏の葉]

 10日前にJリーガーになることが発表されたDFは、選手権からの敗退決定後、堂々とした振る舞いが印象的だった。落胆するチームメートの肩に手をやって整列に向かわせ、対戦相手の選手たちと握手。そして涙を見せることなく、ロッカールームへと戻っていった。

 暁星国際高のCB国本玲央(3年)は、10月31日に来季からレノファ山口に加入することが発表された。全国出場はなく無名の存在だが、登録188cmのサイズと必見とも言える左足キックの持ち主だ。

 国本は夏の終わりに山口の練習に初参加。その際にはまだ内定を得ることができなかったが、山口強化部は国本の千葉県1部リーグのプレーを確認後に再度練習参加を要請。1度目の練習参加後に強豪大学の練習参加も経験して自信をつけていたという国本は、2度目のチャンスをモノにしてオファーを勝ち取った。

 国本は自身が評価された点について、「キックやビルドアップとかですね。ヘディングやディフェンスはまだ課題はあるんですけれども、そこは入ってから突き詰めていきたい」と語る。

 今春の段階でも目立つプレーをしていた。ただし、本人は「(当時は)本当にキックだけだったんですよ。競り合いとかも微妙だし、守備も軽かった」と振り返る。そこから自分のレベルアップに励み、課題を強化。この試合でも打点の高いヘッドや対人守備の強さは武器になっていた。

 何より左足キックは“ホンモノ”だ。この日は左サイドから右SHへ対角のサイドチェンジを連発。スタンドの観衆もどよめくような低く速いボールで攻撃の起点となっていた。左SBを務めていた中学時代、クロスを重ねる中で磨いてきた左足。そのキックやビルドアップ能力の高さはプロ入りを勝ち取るための武器となった。

 憧れの存在はマンチェスター・シティのフランス代表CBエメリク・ラポルトだ。「ビルドアップもできて、キックも正確で、ヘディングでもゴールを決められるのでああなっていきたい」。暁星国際で「14」をつけているのも彼の影響。これから“日本のラポルト”になることができるか、注目のタレントだ。

 この日、暁星国際はPK戦の末に敗退。チームにとって初となる選手権予選4強入りを果たすことができなかった。「ウチ、まだベスト4に行ったことがなかったので。ベスト4の壁は高かったですね」と国本。後輩たちに向けては「ベスト4の壁は結構高いので、そこを越えてもらいたいですし、越えたら優勝目指して頑張ってもらいたいです」とエールを送った。

 自身のプロ生活は間もなくスタートする。「1年目からどんどんスタメンを狙っていく。最終的にA代表に選ばれるようになっていきたい」。無名の存在から野心を持ち続けて上へ。ポテンシャル十分の大型CBが貪欲に力を磨きながら、一つ一つ階段を上って憧れの存在に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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