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高校屈指のプロ輩出校がついに…2年生主体・興國が狙い通りのゲームプランで初優勝:大阪

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高校サッカー界屈指のプロ輩出校・興國が初優勝

[11.16 選手権予選決勝 阪南大高0-2興國 ヤンマー]

 第98回全国高校サッカー選手権大阪府予選決勝が16日に行われ、阪南大高興國高が対戦。後半に2ゴールを奪った興國が2-0で勝利し、初の全国大会出場を掴んだ。

 愛媛FCでプレー経験を持つ内野智章監督が監督に就任し、今年で14年目。近年はコンスタントにJリーガーを輩出する注目校が悲願の全国大会初出場を決めた。

 タイムアップを迎えた直後に内野監督が「心臓に悪かった」と零したように、決して楽な試合展開ではなかった。立ち上がりの興國は、「元気な阪南さんを元気なうちに崩せると思っていない。前半はジャブを打ちたかった」(内野監督)とリスクを避けながら、試合に入るため、自陣からFW杉浦力斗(2年)を目掛けたロングボールを多用した。

 時間が経過してからは、DF中島超男(2年)とDF平井駿助(2年)のCBコンビを中心にボールを動かしたが、「動きが硬かった」(内野監督)。相手DFの背後に良い形でボールが落ちても、阪南大高DF高木践(3年)に落ち着いてクリアされ、フィニッシュまで持ち込めない場面が続いた。

 スコアレスで前半を終えたが、「今までうちが負ける試合は前半に失点していた」(内野監督)ため、無失点で後半を迎えたのは上出来だ。後半に入ると、MF窪田伊吹(3年)を投入し、前がかりになった阪南大高の隙を突く形で、「今までの試合で一番落ち着いていた。緊張しても意味がない。あれだけの応援を楽しめなかったら、全国でプレーできなくなるので楽しんでプレーしようと思っていた」と語るMF湯谷杏吏(2年)が前向きでボールを受ける回数を増やした。

 内野監督が”ブスケツ”と評する湯谷が良い形でボールを受けると、興國の二枚看板であるMF樺山諒乃介(2年)と杉浦が自然と活きる。後半30分には、中央を仕掛けた樺山がドリブルで相手DFを引き寄せてゴール前にパスを入れると、杉浦が落ち着いてゴール左に決め、興國が均衡を崩した。

 後半34分には自陣右でFKを献上すると、ゴール前に上がったボールを阪南大高DF橋本直旺(3年)にフリーでドンピシャヘッド。「絶対にやられたと思った」(内野監督)場面だったが、「最後まで諦めずにファーに走りこんだ」というGK田川知樹(2年)が手に当て、ピンチを凌いだ。すると、38分に再びチャンスが訪れる。左CKをニアの樺山が合わせてゴールネットを揺らし、そのままタイムアップ。狙い通りのゲームプランで阪南大高を下した興國が歓喜に沸いた。

 今年の興國は、2年生がスタメンのうち7名も占める若いチーム。内野監督が「2年生が多い分、阪南さんより成長度合いが大きかった」と話す通り、若い才能が選手権予選を通じて逞しさを増したことが、初出場の原動力になった。一方で下級生を献身的に支えた3年生の存在も見逃してはならない。「3年生がとにかく腐らない。サブのGK吉岡凜太郎(3年)も同級生が出ていたらまだ辛抱できると思うけど、2年生が出ているのに一番盛り上げている」と内野監督は口にする。

 他の3年生も予選中の紅白戦で主力組と対戦すると、杉浦や樺山に動き方をアドバイス。この日の試合前のミーティングも、MF芝山和輝(3年)が、内野監督が話そうとしていた試合のポイントを先に全て伝えてくれたという。「雰囲気的にこれが勝つチームなんだと思っていた」(内野監督)。悲願を達成したが、全国大会が終着点ではない。激戦区・大阪で敗れたチームの想いも背負い、チームと一丸となって選手権の舞台でも躍動するつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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