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夏に続いて“死のブロック”も…青森山田MF武田主将「全試合圧倒していきたい」

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青森山田高MF武田英寿主将(左)と米子北高DF田中秀磨主将が握手。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 王者は夏に続いて“死のブロック”に入った。18日に第98回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会が行われ、前回大会優勝校で第1シードの青森山田高(青森)は、初戦でプリンスリーグ中国首位・米子北高(鳥取)と対戦することが決定。続く3回戦ではインターハイ準優勝校の富山一高(富山)か大会屈指のゲームメーカー・MF山田真夏斗(3年、松本内定)擁する立正大淞南高(島根)、インターハイで強さを印象づけた神村学園高(鹿児島)、そして未定の群馬県代表(前橋育英高対健大高崎高の勝者)とどこが勝ち上がってきても強敵で、同じAブロックには関東王者の國學院久我山高(東京B)や昌平高(埼玉)、興國高(大阪)など前評判の高い高校が揃う。連覇を狙う王者は非常に難しいブロックに入った。

 前回大会優勝の青森山田が組み合わせ表の左端、「1番」に入ることは抽選前から決定済み。そこに引き寄せられるように強豪校が集まってきた。全く気を抜くことができないブロックを勝ち上がっても、その先に準決勝、決勝が控える。準決勝を前にメンタル面、体力面で疲弊することもありそうだが、王者は先を見るよりも一戦必勝の構え。黒田剛監督は「簡単な相手じゃないんでね。どこも」と語り、「目の前の試合だけ。一戦必勝で勝てるように」と目の前の試合に集中して勝ち上がって行く考えを口にした。

 青森山田にとっては、今夏に続く“死のブロック”だ。沖縄で開催されたインターハイはいきなり17年度選手権日本一の前橋育英高(群馬)とのビッグマッチ。この試合を2-0で制した青森山田は続く2回戦でもプレミアリーグWESTで上位争い中だった“公立の雄”大津高(熊本)を1-0で突破した。だが、大一番2試合を乗り越えて迎えた3回戦でパフォーマンスが落ち、実力派の“伏兵”北越高(新潟)にPK戦の末に敗れている。

 浦和内定のエースMF武田英寿主将(3年)は、「夏の暑さもあって、体力的な面で動かなかった部分がある」と振り返る。今回も夏同様に“死のブロック“に入り、2回戦からの4日間で3試合と厳しい日程。だが、夏とは気温、環境面も異なり、また徹底して磨いてきたハードワークする部分でライバルたちには負ける訳にはいけないという思いもある。武田は「自信を持ってやれると思います」。今回は激戦ブロックを必ず勝ち抜く。

 前回大会の優勝メンバーで、U-18日本代表として国際試合も経験している武田は「相手とか自分のチームメートは少し緊張があると思う。自分が一発で仕留められれば楽になるかと思うので、点を決めたいと思います」。武田も自認するように大舞台は得意。大会を代表するレフティーは強敵相手でもチームを勝たせるような活躍をする意気込みだ。

 チームは現在、高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTで2位・柏U-18に勝ち点4をつけて首位。後期は失点が増えて未勝利だが、修正して迎えた選手権予選は無失点で優勝した。黒田監督が「もう一つ成長させないといけない」と語るように、ここから全国大会の決勝まで学び、成長し続けなければタイトルを獲ることはできない。それでも、マジメな選手が多く、横浜FC内定のMF古宿理久(3年)やU-17日本代表CB藤原優大(2年)、U-16日本代表MF松木玖生(1年)、GK佐藤史騎(3年)ら試合を決めることのできる選手たちがおり、“死のブロック”に入った他のライバルたちにとっても青森山田が最も嫌なチームであることは間違いないだろう。

 武田は決勝でライバルのFW染野唯月(3年、鹿島内定)擁する尚志高(福島)との再戦を期待。1年前の準決勝では3-3で突入したPK戦の末に勝利しているが、「今年は圧倒したい」と言い切った。そして、「全試合、圧倒していきたいと思います」。“死のブロック”を勝ち抜き、連覇を果たすことができれば、強さは“ホンモノ”。それも相手を圧倒するような戦いを見せて青森山田が、“令和初の選手権”で頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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