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どちらが上手くて、強い?再会した両主将が引き寄せ合い、昌平vs興國の注目対決が実現!

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初戦で実現した攻撃的チーム同士の戦い。昌平高FW大和海里主将(左)と興國高MF田路耀介主将が握手。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 近年、全国舞台でも存在感を放っている新鋭・昌平高(埼玉)と注目の初出場校・興國高(大阪)が、選手権初戦(2回戦、20年1月2日)で激突。近年、Jリーガーを続けて輩出するなど個性的な選手が多く、攻撃的なスタイルが注目されている両校が初戦で対戦することが決まると、組み合わせ抽選会場は大いに沸いた。

 16、18年とインターハイで2度3位に入っている昌平は、激戦区・埼玉県予選の決勝で西武台高に4-0で快勝。安定感の高まった守備陣の支えを受け、日本高校選抜の10番MF須藤直輝(2年)や鋭い動き出しからゴールを連発するFW小見洋太(2年)、技巧派MF鎌田大夢(3年、兄は日本代表FW鎌田大地)、MF紫藤峻(3年)らがドリブルやコンビネーションからゴールを連発した。予選では出場機会の少なかったFW大和海里主将(3年)もJ1クラブが注目した逸材。前評判は非常に高い。

 一方の興國は、“浪速のボールハンター”MF田路耀介主将(3年)と高速右SB高安孝幸が金沢内定。加えて、2年生はエースFW樺山諒乃介、U-17日本代表FW杉浦力斗、今夏横浜FMに2か月間練習参加したGK田川知樹ら4、5人がプロ入りするのではないかと言われている注目世代だ。バルサスタイルのサッカーが注目される一方で勝負弱さがあったことも確か。だが、今回は全国屈指の激戦区・大阪府予選で接戦を勝ち抜く強さも示した。選手層は非常に厚く、選手権初出場ながら上位争いに加わる可能性十分の強豪校だ。

 両指揮官は注目対決への期待感や複雑な心境も。昌平の藤島崇之監督は「色々な部分を持ち合わせているのは相手の強み。ただ、僕らもしっかりと培ってきた部分は出しながらやりたい。今回の選手権予選でも成長しっかり遂げながらやれた部分もある。個にも焦点当てながらグループ、組織とチーム作りができればいい」と語った。

 一方の興國・内野智章監督は昨年見たという相手の印象について「近年見た中で一番良かったですね。テクニックとパスのバランスがドリブルしすぎひんし、パスしすぎひんし、僕らが目指しているサッカーをやっていますよね」と高評価。強敵との初陣となり、「ホンマに最悪ですわ」と苦笑していたが、野心あふれる2年生のタレントたちと人間性優れた3年生たちが一体となってまずは注目対決勝利を目指す。

 この組み合わせは両主将が引き寄せ合ってしまったのかもしれない。先に抽選を終えていた昌平の大和主将は組み合わせ決定後、興國の田路主将に対して「オレは引くと思ったよ」と話すと、田路も「(同じ)Aブロックに入ると思っていた」と返したという。2人は今年、同じタイミングで岡山に練習参加。その2人が昌平、興國という注目校の主将として全国高校選手権の組み合わせ抽選会で再会した。

 田路は「会った時からなんか当たる気はしていたんですけれども、まさか(本当に)当たるとは思っていなかったです」と最初の“予感”が的中してしまったことに苦笑い。どちらの個、チームが上手くて、強いのか注目される中での戦いになりそうな一戦へ、田路は「個の力ではどこにも負けない自信があります。一戦一戦しっかりと準備して、相手がどこであろうとしっかりと興國らしいサッカーをして勝ち上がりたいと思います」と言い切った。

 一方の大和は「そういうふうに注目してもらうことは自分たちにとってもモチベーションになりますし、その中で『なんだこの選手は?』と思ってもらえるようなプレーができれば自信になりますし、チームにとっても凄くプラスになる。(夏に強いと思われがちだが)今年しっかり冬で勝つことによって『昌平は良いチームだぞ』『強いチームだぞ』と見せたいなと思います」とより、上手くて強いチーム、個人になる意気込みを口にしていた。

 岡山の練習参加を経て、田路は金沢からのプロ入りを選択。大和はいくつかの誘いを断る決断をした。大和は「プロに行く決断をした彼と再び戦えることが楽しみですし、その中で自分が勝つことによって、自分がした選択が正しかったと思えるような一歩にしたいなと思います」と語り、田路は「プロに行くんでそれはプライドもありますし、負けたらいけないと思っているので、絶対に勝ちたいと思っています」。注目対決は両主将のプライドを懸けた戦いも。周囲の期待するスペクタクルな攻め合いを経て、勝者となったチームが勢いに乗ることは間違いない。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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