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日大藤沢が盤石の勝利。決勝で「打倒・桐光」に挑戦

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日大藤沢高が決勝へ駒を進めた

[11.23 選手権神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 3-0 桐蔭学園高 相模原ギオン]

 神奈川ファイナルのカードは、ライバル対決に決定! 23日、第98回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が行われ、関東大会予選優勝校の日大藤沢高と2年ぶりの優勝を狙う桐蔭学園高が対戦。日大藤沢が3-0で勝ち、11月30日に行われる桐光学園高との決勝戦へ駒を進めた。

 日大藤沢が盤石とも言えるゲーム運びでインターハイ王者・桐光学園への挑戦権を勝ち取った。ここまでは自分たちのやりたいようなサッカーができなかったという日大藤沢だが、佐藤輝勝監督が「今週、桐蔭さんのプレッシャーも剥がすつもりで行った」と説明するように、同じく技術力高い桐蔭学園との“剥がし合い”“崩し合い”にチャレンジ。前半からボールを支配する時間を伸ばした日大藤沢はセットプレーでの強さも合わせて快勝した。

 前半30分にMF斉藤夏(2年)が「素晴らしいミドルで、練習していた通りの枠に低い弾道でというところでやってくれた」(佐藤監督)という一撃を決めてスコアを動かす。桐蔭学園も繋いで攻め返していたものの、独特の4-3-2-1システムを採用する日大藤沢の守りは堅い。

 CB青木駿人主将(3年)が「去年から始めたやり方で1年間積み重ねてきて、今年もその守備のやり方を一年間続けてきて身体に染み付いているというか、ここに来たらこう動くとか、全員の意思疎通がしっかりとできている」と説明したように、同方向へ追い込んでボールを奪う守備が効果を発揮。守備に人数をかけているために一見重心は重いが、前向きにボールを奪うと、空いたスペースへ右SB 岡田怜(3年)や左SB 吉本武(3年)ら走力と攻撃力を備えた選手が湧き出るような攻撃をしてチャンスに繋げていた。

 また、3ボランチの脇に構えるMF植村洋斗(3年)が抜群のキープ力を見せ、FW平田直輝(3年)が最前線で良く身体を張っていた一方、中央に構える1年生MF植木颯の精度の高い1タッチパスが味方の時間、余裕ある攻撃を生み出していた。桐蔭学園は後半、注目エースのFW白輪地敬大(3年)が組み立てに参加しながらボールを運ぼうとしていたが、なかなか良い形で攻め切ることができない。

 逆に日大藤沢はセットプレーで追加点。10分に吉本の左CKをファーサイドのCB宮川歩己(2年)が頭でゴールにねじ込むと、20分にも吉本の左FKから宮川の放ったヘディングシュートがゴールラインを越える。

 意地を見せたい桐蔭学園はMF鹿子島雅也(3年)らがボールに絡みながら前進。白輪地やDF横川渓太(3年)がシュートにまで持ち込んだ。だが、GK濱中英太郎(3年)の好守に阻まれるなど最後まで1点を奪うことができず。日大藤沢が14年度以来となる全国進出へ王手をかけた。

 日大藤沢の選手たちの打倒・桐光学園への思いは非常に強い。青木は「去年の選手権も、今年の夏も、全部桐光に負けて全国の道を絶たれているので、決勝で、三ツ沢で、桐光で舞台は整ったと思うので、あとはしっかりと一週間準備してしっかり勝つだけだと思います。桐光が夏獲って、この選手権でまた桐光かとなるのは嫌。自分たちも神奈川にいると見せつけたいので絶対に勝ちます」と力を込めた。

 昨年度の選手権予選は2-0から逆転負け。今年のインターハイ予選では延長戦の末に敗れている。だが、リーグ戦を含めると今年の対戦成績は1勝1分1敗だ。また、日大藤沢の現3年生は、1年時にRookie League関東、全国大会も優勝している期待の世代。そして、競争の中でBチームから吉本やFW浅野葵(3年)が台頭し、この日は昨年からのレギュラーだった選手たちや超大型FWの鈴木輪太朗イブラヒーム(2年)が控えるほどの充実の陣容だ。
 
 期待の世代もここまでは十分な結果を残せていないが、全国王者の壁を乗り越えることができるか。佐藤監督は「相手を尊重しながらも自分たちだと思う。見ている人がサッカーの魅力に取りつかれるようなゲームができて、その上で自分たちが半歩でもリードできるように準備したい」。打倒・桐光学園を今度こそ果たして全国舞台に立つ。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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