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流経大柏が3-0快勝で3連覇に王手。千葉決勝は令和元年も名門対決に―

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後半14分、流通経済大柏高はCB古谷優斗(5番)が追加点

[11.27 選手権千葉県予選準決勝 翔凜高 0-3流通経済大柏高 柏の葉]

 千葉決勝は今年も名門対決に――。第98回全国高校サッカー選手権千葉県予選準決勝が27日に行われ、2年連続全国準優勝の流通経済大柏高が3-0で翔凜高に勝った。流経大柏は30日の決勝で市立船橋高と戦う。

 令和初の千葉代表決定戦。その対戦カードは7年連続でライバル対決になることが決まった。準決勝第1試合で市立船橋が4-0で快勝した後に翔凛戦へ臨んだ流経大柏だが、本田裕一郎監督も驚くほど選手たちが神経質になっていたという。普段とは異なるウォーミングアップを取り入れるなど選手がリラックスできるように務めて試合に臨んだというものの、前半は重心の重い展開となった。

 前線からボールと相手を追う選手に後ろがついて行けなかったために間延びし、プレッシングが単発に。結果、空いたスペースを翔凜の左SB石井海都(3年)やエースMF角田悠斗(3年)、MF松浦廉(2年)に活用され、シュートやラストパスに持ち込まれていた。

 翔凜はCBデアスンプサオ・レオナルド(1年)が197cmの高さを発揮。相手のゴールキックなどを跳ね返していたが、今年の流経大柏は敵陣に押し込んでからはグラウンダーのパスワークを例年以上に活用するチームだ。ボールを奪い返すと、右のMF八木滉史主将(3年)と左のMF大西悠介(3年)がサイドの高い位置で起点を作り、FW羽坂豪(3年)やFW三好麟大(2年)を交えた素早い崩しからシュートシーンを作り出した。

 内容が悪い中でも相手を押し込み続けた流経大柏だが、三好のラストパスから大西の狙った右足シュートが枠を外れたり、翔凜DFのシュートブロックにあうなどなかなか1点を奪うことができなかった。それでも39分、大西を起点に右の羽坂が逆サイドに展開すると、八木が角度のない位置から左足ダイレクトでシュート。これがDFに当たってコースが変わり、先制点となった。

 後手になっていた部分をハーフタイムに指摘された流経大柏は、ボランチに運動量豊富なMF渡会武蔵(3年)を投入。前への意識が強まったチームは立ち上がりから羽坂のヘディングシュートや大西のドリブルシュートなど決定機の数を増やす。翔凜はGK浅沼斗雅(3年)がファインセーブを連発したが、流経大柏は14分に追加点。セットプレーの流れから大西の右クロスを交代出場のCB古谷優斗(3年)が右足ダイレクトで決めて2-0とした。

 さらに流経大柏は16分、FW瀧本脩司(3年)の縦パスを三好が1タッチで右サイドへ展開。右SB田口空我(1年)からの折り返しを受けた三好が、鮮やかなターンでDFをかわして右足を振り抜く。これが左隅に決まって3-0となった。

 翔凜はGK浅沼中心に奮戦。角田が左サイドから放ったシュートがクロスバーを叩くなど最後まで戦う姿勢を見せ、1点を目指した。だが、流経大柏は最終ラインの柱・U-17日本代表候補CB藤井海和(2年)を中心に無失点。一方で本田監督が「夏以降ずっとシュート、シュートって打って来ているけれど決まらない」と苦笑したように、相手の背後を突く攻撃を交えてチャンスを作り続けながら決定力を欠くなど、課題も残る試合となった。

 流経大柏は引き締めの材料も得ての快勝。今年度限りで退任する予定の本田監督は「最後の試合で結局市船とやるのは嬉しいよね」と決勝でのライバル対決を歓迎した。過去2年間は流経大柏が勝利。千葉3連覇を果たし、全国制覇への第一関門を突破することができるか。

 八木も「どうせ(決勝)やるんだったら、市船を倒してやりたいですし、その対決で2年間勝っている姿しか見ていないので、ここで勝って3年連続出場を決めたい」と宿敵との対戦を喜ぶ。

 そして、「延長戦含めて100分で、長い目で見て総力で勝てたら良いと思います。まずは流経が大事にしている球際やセカンドボール、1対1の部分で負けなければ試合の流れは自分たちに持って来れるのかなと思っていますし、どんなに流れに乗ったとしても相手の時間が来ると思うので、そこでいかに失点せずに我慢強くプレーができるか。気持ちの面では絶対に負けない」と力を込めた。

「千葉県決勝は特別なもの」(八木)という戦い。普段通りを発揮することも難しい環境の中で重圧、緊張感を楽しみながら、自分たちの積み上げてきた力を発揮し、気持ちでも宿敵を上回って「今年も」千葉の頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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