beacon

[MOM3107]四日市中央工MF森夢真(3年)_今大会が「就活の場」の10番、2Gの存在感

このエントリーをはてなブックマークに追加

ドリブルで会場を沸かせた四中工MF森夢真(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 日大明誠高1-3四日市中央工高 フクアリ]

「まだ進路決まっていなくて。プロ1本で絞ってやってきたので、この大会でがんばらないと先がないです」。決意の四日市中央工高(三重)MF森夢真(3年)が、決勝点を含む2ゴールで勝利に導いた。

 ボランチを主戦場としている森だが、この日は左サイドハーフで先発。MF宮木優一(2年)とポジションを入れ替わるカタチになったが、これはスカウティングを基にした戦術変更だった。「今日の対戦相手を分析したときに、空中戦の場面が増えると。そのときに僕らははね返して、拾って終わりではなくて、拾ったときに森につないで、そこから攻撃につなげようというプランを持っていた」という指揮官の狙い通り、背番号10が躍動する。

 左サイドでボールを持てば、相手が複数人いてもドリブルで仕掛けてチャンスをつくる。チーム2点目の場面では、 MF和田彩起(3年)の右サイドからのクロスにファーで右足で合わせた。そして、3点目は圧巻の個人技。ドリブルで持ち込んでペナルティエアリア内でDFと1対1になると、ボールをわずかにずらしてコースをつくると、相手DFを抜ききる前にシュートを決めった。「サイドハーフのほうがドリブルが仕掛けやすいですし、苦にはならなかったです」と森は笑みをこぼした。

 昨年度の選手権に続いて10番を背負う森。「去年は先輩に甘えていたっていうか。自分自身あまりいいプレーができなかったですし、今年は自分が勝たせようとやっていました」。初戦敗退の雪辱を晴らし、四日市中央工としては6年ぶりとなる選手権での勝利を手にした。

 新チームになると立候補で主将に。今夏のインターハイには意気揚々と臨んだが、1回戦で尚志に0-5の大敗を喫する。「あのインターハイは、『全国獲れるんだ』くらいの気持ちでいって、尚志高校に鼻をへし折られて。そこから『自分たちの立ち位置を考えよう』、『何をしなければいけないか考えよう』、『トレーニングの空気を変えていこう』。それでキャプテンの森が成長したと思いますし、それがチームの成長につながっている」と伊室陽介監督は目を細める。この日の活躍にも「彼が機能したときに、我々の攻撃が機能します」と絶大な信頼を寄せる。

「ハットトリックを狙っていたんですけど、途中足がつって1試合もたなかったので。次はハットトリック狙いたいと思います」。四日市中央工の浮沈を握るMFは、胸を張って宣言した。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

TOP